「あちらのお客様からです」
やや緊張した面持ちでバーテンダーはそう告げると、失意のどん底にいる女に1杯のカクテル『ビトウィーン・ザ・シーツ』を差し出した。
それを見届けた男はバーテンダーに多めのチップを支払い、静かなバーを後にした。
何故?
(SP:霜ばしらさん! 感謝!)
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解説:
男は、仕事終わりのナイトデートの終着点としてこのバーを訪れ、ここで恋人にプロポーズをする計画を前々からバーテンダーに相談していたのだ。
最終打ち合わせのために、恋人との待ち合わせ場所に行く前に男は一度バーに顔を出したのだが、そこで知らされたのは予定外の客の存在。 失恋したショックで打ちひしがれている女性客がずっと帰らないでいるというのだ。
失恋した人の手前でプロポーズするのも、失恋した自分の傍でプロポーズされるのも、どちらにとっても居心地悪いことこの上ない。
それを聞いて男は顔を曇らせたが、少しの間考え込んだ後にバーテンダーへとこう告げた。
「・・・・・・よし、寝かせてしまおう。とびきり強いカクテルを彼女に奢ってくれ」
「ええ・・・? 本気ですか・・・?」
客を・・・しかも女性を意図的に酔い潰すなんてのはバーテンダーとして望まぬところではあったが、馴染みの客である男のプロポーズを成功させてあげたいという思いも同時に強かった。
バーテンダーは、『ベッドに入って』と名付けられたアルコール度数の高い柑橘系カクテルを、少し緊張しながら女性客へと差し出した。
バーテンダーとしての非礼を詫びつつ、『ビトウィーン・ザ・シーツ』が彼女を甘く爽やかな夢の世界へと連れて行ってくれるようにと祈りながら・・・。
簡易解説:
バーでプロポーズをするためにデート直前に最終打ち合わせに来た男は、失恋して傷心中の女性が帰らないでいることを知る。 失恋した女性の傍でプロポーズをするのはバツが悪いと思い、女性にしばらくの間寝てもらうために強いカクテルを奢ると、恋人との待ち合わせ場所へ向かうためにバーを後にしたのであった。
物語:3票
物語部門
輝夜>>
「緊張した面持ちで」や「失意のどん底にいる」などの、ウミガメでは扱いにくい登場人物の心情を自然にスープに落とし込み、納得感を生み出しています。解説の物語にも心惹かれました。
霜ばしら>>
テンプレを少しずらしてあの展開に持っていくのがおもしろいなと思いました。ちょっとブラックな感じもしますが、バーの大人な雰囲気に合っています。