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リンゴ」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
リンゴを見つめる僕の視線を追って彼女は、
「いただいたの。こんなにたくさん、一人じゃ食べきれないのにね」
「ご近所のみなさんにお裾分けしたら?」
「ご近所さん?そうね」
彼女はクスリと笑って、
「じゃあ、そうしましょう。お願いできる?」
僕はゆっくりと立ち上がり、リンゴの籠を抱える。
その時、彼女が囁いた。
「みなさんにお伝えしてね。早く出ていきなさいって」
彼女の優しさと清らかさに心を打たれながら僕は、
「出ていくのは君だよ。君が出ていくんだ」
と言った。

今の僕たちの状況を説明できるかい?
[シンカー]

【ウミガメ】【闇スープ】21年04月19日 09:40

初出題です。よろしくお願いいたします

解説を見る
〈病室での夫婦の会話。入院している妻の元を訪れた夫が、見舞品のリンゴを同室の入院患者たちに配ろうとしている。他の患者達の先行きを案じる妻に、人のことより自分が退院することを考えろと夫は言う〉



「みなさんにお伝えしてね。早く出ていきなさいって」
優しさに溢れた彼女の声に、僕は思わず涙しそうになった。
こみ上げる衝動を辛うじて抑えると、僕は言った。
「出ていくのは君だよ。君が出ていくんだ。この部屋から」
僕は君みたいには優しくなれない。他の人たちのことなんか、どうだっていいんだ。君さえ戻ってきてくれたら、それでいい。
僕は、自分の狭量と今自分の声が震えていたことと、彼女に知られて恥ずかしいのはどっちだろうかと考えていた。病室の無愛想なベッドに横たわる、まもなく米寿を迎える妻を見つめながら。
物語:2票
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トリック部門
物語部門
甘木[☆スタンプ絵師]>>コメントなし
異邦人>>コメントなし
納得部門