夜。

思い詰めた表情の女は、落ち着かない様子で通りを行きつ戻りつしている。
時折チラリチラリと見やる視線の先には、居ずまいの美しい女性のひっそりとした姿があった。
柔らかな灯りに照らし出されたその女性の横顔は、息を呑むほど神々しい。

どれくらい経っただろうか。
やがて人通りもすっかり絶えた頃。
その女性がひとつため息をついて身じろぎするのを見るや、女はハイヒールを鳴らし、脱兎のごとく彼女のそばへ走り寄る。
しかし二言三言立ち話をしただけで、女は肩を落とし、すごすごと去って行った。
残った女性は何やら可笑しくてたまらないといった風情でクックッと笑っている。
そして小さく、こう呟いた。
「あなたなら大丈夫よ…」

女の目的は何だったのだろうか？