「ママ、なに書いてんの?」
「推理小説。『美人すぎる推理作家』としてデビューするの」
「ふーん。ちょっと見せてよ」
「いいわよ。最初んとこだけね」
〈名探偵・金田一余市の美しい顔には苦悩の色が濃く滲んでいた。窓がひとつも無いその部屋には、死体の放つ腐臭が立ち込めている。余市は死体を見下ろした。うつ伏せに横たわる死体の後頭部には斧が、背中には3本の出刃包丁が深々と突き刺さっている。余市は次いで室内をぐるりと見渡した。たったひとつの出入口であるドアに目が止まる。施錠されており、こじ開けられた形跡は無い。それどころか、ドアを塞ぐように複数の木板が釘で打ち付けられているではないか。これでは、解錠されたとて内開きのドアはびくとも動かない。…そう。つまるところ、この部屋は完全なる密室。この事件はまごうかたなき密室殺人なのである!!…〉
「いきなりダメじゃん!」
「なんでよっ!」
夫人の犯した致命的なミスは何だろう?
「推理小説。『美人すぎる推理作家』としてデビューするの」
「ふーん。ちょっと見せてよ」
「いいわよ。最初んとこだけね」
〈名探偵・金田一余市の美しい顔には苦悩の色が濃く滲んでいた。窓がひとつも無いその部屋には、死体の放つ腐臭が立ち込めている。余市は死体を見下ろした。うつ伏せに横たわる死体の後頭部には斧が、背中には3本の出刃包丁が深々と突き刺さっている。余市は次いで室内をぐるりと見渡した。たったひとつの出入口であるドアに目が止まる。施錠されており、こじ開けられた形跡は無い。それどころか、ドアを塞ぐように複数の木板が釘で打ち付けられているではないか。これでは、解錠されたとて内開きのドアはびくとも動かない。…そう。つまるところ、この部屋は完全なる密室。この事件はまごうかたなき密室殺人なのである!!…〉
「いきなりダメじゃん!」
「なんでよっ!」
夫人の犯した致命的なミスは何だろう?
21年03月29日 13:30
[きまぐれ夫人]
【ウミガメ】【闇スープ】
【ウミガメ】【闇スープ】
トリック部門
物語部門
納得感部門
良質部門