「眼鏡を外すといきなり」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
クラスいち地味で目立たないミサト。
いたずらっ子のタケシは、そんな彼女によくちょっかいをかけている。
ある日の放課後、二人きりの教室でタケシはいつものようにミサトのことをからかっていた。
「ミサトって地味な顔だよな!」
それを聞いて少しムッとした様子の彼女は唐突に、学校では滅多に外さないビン底メガネを外した。
突然のことに驚いたタケシだが、メガネを外したミサトの顔を見て思わずつぶやく。
「嘘だろ、ミサトが可愛く見えるなんて…」
照れるあまりうつむいた彼女は、もう二度と人前でこのメガネを外すまい、と心に決めた。
一体なぜ?
SP…るょさん、ダニーさんと挿絵提供フェルンヴェーに全力感謝!
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『簡易解説』
ちょっかいをかけられた仕返しに、タケシがかけているメガネをさっと外したミサト。
どこにでもいる地味な顔だと思っていたタケシは、実は野暮ったいメガネを外すと抜群にイケメンだということにその時気がついた。
彼の素顔がみんなに見られると恋のライバルが増えてしまうと思ったミサトは、人がいる所では彼のメガネを外さないことを決めた。
拝啓
枯葉舞う季節となり冬の気配を感じるこの頃、谷本タケシ様におかれましては、平素とお変わりなく……
みたいなことを本当は書かなきゃいけないみたいなんだけど、タケシ君はきっとそういうの気にしないと思うからやめちゃいます。手紙なんて初めて渡すのに、最初からこんな調子でごめんね。
突然だけど、私たちが今みたいによく話すようになったのって、いつ頃からか覚えてる?
きっと忘れてるだろうけど、ちょうど一年前の今頃からだったんだよ。
去年は高校に入って最初の年だったから友達も全然いなかったし、あんまり誰かと関わろうっていう気にもなれなかったから、ずっと教室で本を読んでたんだ。影の薄さで言えば、私、クラスでも一番だったんじゃないかな?
隣のクラスのヒロナちゃんってわかる?
前にちょっとだけ話したけど、この学校で一人だけ私と中学校が同じでね、毎日授業の愚痴とか全部聞いてもらってて、あの子さえいれば友達なんていらないやーって思ってたの。お互いに知らないことなんてないくらい何でも話してたからさ。
それで、ヒロナちゃんに愚痴る内容が増えたのが夏休み明けくらいかな。なんでだと思う?
そう、その頃からだよ、タケシ君が私にちょっかいかけ始めたのは。
その頃ですらクラスの人の半分くらいしか名前知らなかったけど、さすがにタケシ君は知ってました。だっていっつも小学生みたいなイタズラして、先生に怒られてるんだもん。見た目はガリ勉っぽいのに変なのって思ってたのは内緒だよ。
そんなタケシ君が、どういうわけだか私に毎日いたずらしてくるようになったもんだから、すごく驚いたし、正直迷惑だなって思ってた。別に面白いリアクションするわけでもないし、なんで私なの?って。
まあ無視すれば済む程度だったから、うっとうしいってだけだったけどね。
だからあの日の放課後、いつもみたいに絡んでくるタケシ君をスルーできなかったのは、前の日にヒロナちゃんが顔がかわいいとどうのこうのって話をしてたからかな。もしかしたらそのとき読んでた小説が面白くて、邪魔されたくなかったのかもしれないけど。
「ミサトって地味な顔だよな。」
たぶんそんな感じだったと思うんだけど、なぜかいつもよりイラッとしちゃって。気づいたら手が動いて、タケシ君のメガネ、取っちゃってたんだよね。
タケシ君がメガネ外してるとこなんて見たことなかったからさ、いつものイタズラの仕返しをしてやったって心の中で叫んでたんだ。
どうだ!見たか!ってにやにやしながら見上げたら案の定びっくりしてるみたいだったけど、たぶん驚くポイントが違ったと思う。
「ミサトが可愛く見えるなんて…」って、タケシ君そう言ったんだよ? 私がびっくりするよ。
いや、確かに言われたその時は嬉しかったよ、そんな風に言われたことなかったから。でもよくよく考えたらひどくない? タケシ君まあまあ目が悪いじゃん。メガネ外した方が可愛く見えるって、よく見たら可愛くないってことでしょ? まったく失礼しちゃう。
でもタケシ君以上に、私の方が驚いてたと思う。正直言って、普段のタケシ君って全然かっこよくないの。ビン底メガネの印象が強すぎて、みんなしっかり顔を見てないんじゃないかな。
どうしてこんな悪口言うのかって怒るかもしれないね。でも、でもね、自分では気づいてないだろうけど、メガネを外したタケシ君は、すごくかっこいいんだよ。
あの時初めてタケシ君の素顔を見て、こんなにかっこいい人本当にいるんだって思った。目がぱっちりしてて、鼻立ちもシュッとしてて。そんなイケメンから「可愛く見える」なんて言われたら、そりゃ照れるし目もそらすよ。
もしもタケシ君がメガネじゃなくてコンタクトだったら、今ごろモテすぎてファンクラブができてるんじゃないかって本気で想像してる。
だからその時、不意に思ったの。
タケシ君の素顔は、誰にも見せちゃいけないって。
みんなの前でメガネを外したら大騒ぎになって、きっと今までみたいに絡んでくれなくなるだろうなって。
私がタケシ君のメガネを外すのは、誰にも見られてない時にしようって、その瞬間に決めたんだ。
ヒロナちゃんにも言えない気持ちは、初めてだったんだよ。
その日から私は、学校に行くのが楽しくなったの。タケシ君に会えるってだけで、勉強も全然大変じゃなかった。
タケシ君がいつもいたずらばっかりなのも、みんなを笑顔にしたいからなんだってわかったし、一緒に話しててこんなに楽しい相手がいるなんて思いもしなかったよ。
今年も同じクラスになれた時は、涙が出るほど嬉しかった。いつも本当にありがとう。
さて、ここまで来ればものすごーく鈍感なタケシ君でもわかったかな?
そう、この手紙はいわゆるラブレターってやつなんです。びっくりした?
できれば直接伝えたかったんだけど、そんな勇気私にはないので、この手紙に託します。
書くだけでもすごく緊張するけど、聞いてください。
私、寺澤ミサトは、タケシ君のことが好きです。
私と、付き合ってくれませんか?
トリック:3票物語:4票納得:4票良質:21票
全体評価で良質部門
休み鶴>>
水平思考は当然のことながら、その前提となる垂直思考の観点も重要なファクターになっている、稀有なパターンの問題です。何故か勝手に思考が遠回りしていました。
ぎんがけい>>
いい物語で、出題者の思い通りのミスリードにはまり、最終的にああと納得できたので。
トリック部門
ぺてー>>
あるあるを重ねがけすることで、強固な先入観を生み出しています
同じイラストのはずなのですが、答えを見る前と後で全然違って見えます!