社員食堂の隅の席で私が遅めのランチを食べていると、七海が近づいて来て、耳打ちする。
武部課長と篠原さんが不倫しているらしい、と。
「えっ?」
「驚いてる驚いてる。意外や意外の組み合わせだもんねえ。まさか、あの二人がねえ」
私が常日頃、醜いと蔑んでいるでっぷり太った武部の巨躯と、華奢ながら均整のとれた篠原の体…
おぞましい光景が脳裏に浮かび上がりそうになって、私は慌ててかぶりを振った。
「総務の竹下さんがバッチリ目撃したらしいよ。言い訳できないような場所でさ」
「へえ…そうなんだ」
「怖いねえ。どこに誰の眼があるかわからない。一億総パパラッチ。お互い気を付けよー。ツンツン」
と七海はニヤニヤと笑いながら私の脇腹を指で突いてくる。
「ていうか七海さ、今こんなところでそんな話しなくても…」
私と七海は今夜仕事の後で食事する約束をしていた。
「噂話は新鮮さが命」
笑いながら言う。
「じゃ、先にもどるわ。また後で~」
食堂を出てゆく七海の後姿を見送りながら、私は考えていた。
これは何かの啓示なのだろうか。
決断する潮時なのかもしれない。取り返しのつかないことになる前に…
その夜。
ひとりの男が刺され、ひとりの男が自首し逮捕された。
一体何が起こったのか?
誰が刺され、誰が刺したのか? その理由は?
解答は可能であると信じている。
想像の羽を広げてみていただきたい。
武部課長と篠原さんが不倫しているらしい、と。
「えっ?」
「驚いてる驚いてる。意外や意外の組み合わせだもんねえ。まさか、あの二人がねえ」
私が常日頃、醜いと蔑んでいるでっぷり太った武部の巨躯と、華奢ながら均整のとれた篠原の体…
おぞましい光景が脳裏に浮かび上がりそうになって、私は慌ててかぶりを振った。
「総務の竹下さんがバッチリ目撃したらしいよ。言い訳できないような場所でさ」
「へえ…そうなんだ」
「怖いねえ。どこに誰の眼があるかわからない。一億総パパラッチ。お互い気を付けよー。ツンツン」
と七海はニヤニヤと笑いながら私の脇腹を指で突いてくる。
「ていうか七海さ、今こんなところでそんな話しなくても…」
私と七海は今夜仕事の後で食事する約束をしていた。
「噂話は新鮮さが命」
笑いながら言う。
「じゃ、先にもどるわ。また後で~」
食堂を出てゆく七海の後姿を見送りながら、私は考えていた。
これは何かの啓示なのだろうか。
決断する潮時なのかもしれない。取り返しのつかないことになる前に…
その夜。
ひとりの男が刺され、ひとりの男が自首し逮捕された。
一体何が起こったのか?
誰が刺され、誰が刺したのか? その理由は?
解答は可能であると信じている。
想像の羽を広げてみていただきたい。
20年10月12日 18:49
[きまぐれ夫人]
【ウミガメ】【闇スープ】
【ウミガメ】【闇スープ】
納得感部門
良質部門