愛の形は十人十色 果たして何色あるかしら」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
社員食堂の隅の席で私が遅めのランチを食べていると、七海が近づいて来て、耳打ちする。

武部課長と篠原さんが不倫しているらしい、と。

「えっ?」

「驚いてる驚いてる。意外や意外の組み合わせだもんねえ。まさか、あの二人がねえ」

私が常日頃、醜いと蔑んでいるでっぷり太った武部の巨躯と、華奢ながら均整のとれた篠原の体…

おぞましい光景が脳裏に浮かび上がりそうになって、私は慌ててかぶりを振った。

「総務の竹下さんがバッチリ目撃したらしいよ。言い訳できないような場所でさ」

「へえ…そうなんだ」

「怖いねえ。どこに誰の眼があるかわからない。一億総パパラッチ。お互い気を付けよー。ツンツン」

と七海はニヤニヤと笑いながら私の脇腹を指で突いてくる。

「ていうか七海さ、今こんなところでそんな話しなくても…」

私と七海は今夜仕事の後で食事する約束をしていた。

「噂話は新鮮さが命」

笑いながら言う。

「じゃ、先にもどるわ。また後で~」

食堂を出てゆく七海の後姿を見送りながら、私は考えていた。

これは何かの啓示なのだろうか。

決断する潮時なのかもしれない。取り返しのつかないことになる前に…


その夜。

ひとりの男が刺され、ひとりの男が自首し逮捕された。



一体何が起こったのか?

誰が刺され、誰が刺したのか? その理由は?

解答は可能であると信じている。

想像の羽を広げてみていただきたい。
20年10月12日 18:49 [きまぐれ夫人]
【ウミガメ】【闇スープ】
トリック:2票物語:2票
トリック部門
アカガミ[1問正解]>>コメントなし
琴水>>トリックというよりレトリック?になるんだろうか。バランスよく謎を相互補完できる文章が秀逸だと思いました。
物語部門
アカガミ[1問正解]>>コメントなし
もこたろ>>コメントなし
納得感部門
良質部門