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長年連れ添った彼女に婚約指輪を渡し、プロポーズした私。
このプロポーズはやんわりと断られ、
彼女は指輪を受け取ってさえくれなかった。
しかし、次の日。
諦めきれなかった私は、
夏祭りの出店で見つけた『おもちゃの指輪』を彼女に渡し、
もう一度プロポーズをした。
一体なぜ、私はおもちゃの指輪なんて渡したのだろうか?
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医者も匙を投げた大病を患った彼女。
彼女の選択は、
チューブに繋がれて命を長続きさせるくらいなら、
自由に生きて生涯を閉じたい。
というものだった。
私は彼女にプロポーズをした。
高い婚約指輪も買った。
けれど、
「私には勿体ないよ。指輪はあの世に持っていけないもの。」
彼女は寂しそうに笑ってそういった。
彼女が居なくなった世界に、形見の指輪だけが残っている…。
そんな場面を想像すると、「後追い自殺」という単語が頭をよぎった。
どす黒い気持ちから目を背けるように、
ならばせめて思い出をと、私は彼女を夏祭りに連れて行った。
そこで、このおもちゃの指輪を見つけたのだった。
…気がつくと私はそれを買い、改めて彼女にプロポーズをしていた。
「私がそっちに行くまで、これを付けて待っていてほしい。」
そう言った。
・・・
やがて、彼女は息を引き取った。
約束通り、副葬品(故人に持たせるため、一緒に焚き上げる品)
には、おもちゃの指輪を入れた。
おもちゃの指輪は白い煙となって、彼女とともに天に昇っていった。
「人は死ねば終わり」
…とはよく言うが、少なくとも私にとっては違う。
自殺なんてしたら、彼女になんと叱られるだろうか。
あの世での新婚生活が上手くいくように、
これからの人生、誠実に生きていかなくては。
結婚式は、きっと盛大なものになるだろう。
そう思った。
答え:
「どうせもうじき死ぬから無駄だ」と婚約を断った彼女のために、
婚約指輪として、プラスチック製のおもちゃの指輪を選んだ。
プラスチック製の指輪なら、彼女の葬式で一緒に焚き上げられる。
つまり、あの世に持っていってもらうことができると考えた。
可燃性の指輪には
「死んでも一緒に居たい」
というメッセージが込められていたのだった。
物語:5票