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ある日、山を歩いていたカメオは、
休憩するために腰掛けた岩の陰に、人がうずくまっているのを見つけた。
見れば、行方不明者の男の死体であった。
この山では、毎年多くの行方不明者が出る。
そういった死体を見慣れているカメオ。
いつもは、然るべき機関に連絡を入れるだけで放置するのだが、
この男の死体に関しては、
ロープで自身に括り付けると、そのまま山を下り始めたのだった。
一体、何のため?
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数々の登山家たちの挑戦を拒み続けてきた神の山。
世界最高峰、ラテマウンテンの単独登頂成功。
道半ばで力尽きた数多の同志たちの死体を踏み越え、
世界でただ一人、自分が頂上に立ったのだ。
前人未到の大記録を達成し、余韻に浸っていたカメオ。
彼がウミオの死体を発見したのは、
腰掛けた岩から重い腰を上げ、いざ山を降りんとするその時だった。
世界的に有名な登山家であるウミオは、
カメオと同じく、数年前に「ラテマウンテンへの単独登頂」に挑戦し、
そのまま行方不明になっていたのである。
まさか、彼が頂上に辿り着いていたとは…。
背負うことができないほど、ガチガチに凍り付いている。
カメオは、ウミオの死体を自身の体に括り付けると、
息も絶え絶え山を下り、険しい崖の前までやってきた。
ウミオさん。あんたは…。
…そう。あんたは登頂に成功なんかしていない。
あんたはそこの崖から足を滑らせて死んだんだ。
頂上に初めて辿り着いたのは俺だ。
人類で初めて、ラテマウンテン頂上の雪を踏み固めたのは俺だ。
あんたじゃない。俺なんだ。
「悪いが、俺の栄光の邪魔はさせないぞ。」
カメオは彼の死体を、
彼の栄光とともに、崖から捨ててしまったのであった。
答え:
前人未到の大記録『ラテマウンテンの登頂成功』は、
実は数年前にウミオという登山家によって達成されていた。
(彼はそのまま山頂で死亡し、正式な記録は残っていない。)
ウミオの死体が山頂で発見されたことが知れたら、
『ラテマウンテンの登頂成功』の栄光が
『前人未到』ではなかったことになってしまう。
だから、カメオはウミオの死体を、
山頂から離れた場所に移動させることにしたのだった。
物語:5票納得:3票
物語部門
ぺてー>>
真相のテイストがとても好みです
こんなことをするからには、それなりの理由があります
納得部門
さなめ。[ラテアート]>>
死体を引き摺っていくという危ない様子な描写とは少しズレた悪意が、登山家のいつもと違う行動の謎を説明する理由であり、謎でもあります。連れていくという表現も繊細に感じます。