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袖スリ合うも多少の円」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
自身の経営している焼き鳥屋の出店費用として、銀行からの多額の借金を抱えるヨシコには、ある秘密があった。

店員の一人で、元スリ師のヘイジロウという男が、店の入り口での客引き中に時折、他人のポケットから私物を抜き取っては、後でこっそり彼女に渡してくれるのだ。
彼の腕前は本物で、警察沙汰になる心配はなかったし、むしろ彼の行いがなければ、ギリギリの返済計画の中で、毎月滞りなく借金を返せてはいなかっただろう。

ところが最近、ヘイジロウはこの行為をパッタリとしなくなったらしい。
かと言って、彼の身の上に何か変化があったわけでもなく、ヨシコの店で普通に働き続けていた。
一方、依然としてヨシコには多くの借金が残っており、彼女の唯一の収入源である店の売り上げも、大きく伸びることは期待できなかったという。

そんな中彼女は、店の売り上げが減ってしまう事を、以前ほど心配しなくてよくなったのだと嬉しそうに語っていた。

一体なぜだろうか?
[元灯台暮らし]

【ウミガメ】20年08月03日 22:02

SPをちはるさんとマクガフィンさんにお願いしました。ありがとうございました!

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簡易解説

ヘイジロウは時々やってくる強盗に対して、犯行を未然に防ぐために凶器を抜き取っては、後でヨシコへと渡していた。
しかし最近は、街の治安も良くなり強盗らしい人物が店に入ってくることがなくなったので、ヨシコは安心して店を切り盛りすることができるようになった。

〜とある店員の思い出話〜

俺がムショを出てから、もう15年になるかな。
捕まったのを機に、裏の稼業からはもう足を洗おうと思ってな。
知り合いの焼き鳥屋で雇ってもらってさ、気の良い常連客達とくだらない話で盛り上がって、まあ、楽しくやってるよ。

昔はこの辺も治安が良いほうじゃないからさ、たまにあったんだよ、招かれざる客ってのが。
俺も結構いろんな経験してきたからな、何かやらかそうとしてる人間ってのは、なんとなくわかるんだよ。ポケットなんかかばって歩いてりゃ確実だな。
たとえばそうだな…あれは12年も前か。
見るからに怪しい若い兄ちゃんが、店に入ろうとするもんだからさ。
俺は偶然ぶつかったフリして、ポケットのナイフを抜き取ってさ、代わりに割引券を入れといてやったんだよ。
そしたら兄ちゃんは気づかずそのまま歩き出してさ、レジの前で立ち止まってポケットに手を突っ込んだまま動かなくなったわけよ。
そんで、突然ハッとした顔でこっち見るもんだからさ、その顔が面白いのなんのって、そんで満面の笑顔で返してやったら、俯いて一目散に出て行っちまったよ。
まあ、一人の若者が道を踏み外さずに済んだって話だ。
ん、ナイフ?
ああ、もちろん後でちゃんと返したよ。

とある気のいい常連客にな。
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