「即効性の毒」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
幼い女の子を家から連れ出し、人気のない建物に立て籠もっていたエイキチ。
呼びかけにも中々応じる様子のない彼だったが、一人になったところをあっけなく捕らえられ、女の子は無事に保護された。
ところで、エイキチは捕まる直前に自らの意思で即効性の猛毒を飲んでおり、まもなく死亡したのだが、それを知った人々は彼を心から称賛したのだという。
一体なぜだろう?
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エイキチと一人娘のアキが二人で暮らしている町が突然、改造生命体《TENDO mk-3》に襲撃された。
《TENDO mk-3》の力は圧倒的であり、普通の人間が抵抗したところで敵うはずもなく、あっという間に食べられてしまう。
町の住人達は我先にと逃げ出していったが、エイキチ親子は運悪く逃げ遅れてしまった。
町中を必死で走る二人は、誰もいなくなった薬屋へと隠れることにした。
しかし安心はできない。
《TENDO mk-3》は聴覚に優れていると聞く。きっとこちらへ逃げたのも気付かれているだろう。
見つかるのは時間の問題だった。
(このままでは二人とも食べられてしまう。何とかこの子だけでも…。)
考えた末、エイキチは薬屋にある致死性の高い劇薬をかき集めた。
すると、やはり居場所がバレていたらしく、《TENDO mk-3》の重たい足音が聞こえてきた。
エイキチは小さな声で、「何があっても絶対に声を出すんじゃないよ」とアキに声をかけ、思い切り抱きしめた。
地鳴りのような《TENDO mk-3》の足音が、薬屋の前で止まった。
「人間さーん、そこにいるのはわかってるのですよー?」
「無駄に逃げ回るのはやめて、早く出てくるのですー。」
しばらく待っても二人が出てくる様子はない。
「ふぅ、しょうがないのです。出てこないならこちらから行くのですー。」
それを聞いたエイキチはいよいよ覚悟を決め、かき集めた薬品を片っ端から飲み干すと、勢いよく薬屋の戸を開けて、《TENDO mk-3》の前へと躍り出た。
「このっ!」
エイキチは力一杯《TENDO mk-3》に殴りかかるが、一切効いた様子はない。
「ふふっ、全く人間さんは貧弱で哀れなのです。せめて私の糧となるがいいのです。」
《TENDO mk-3》はおもむろにエイキチの首を掴み上げると、そのまま頭からゴリゴリと食べていった。
「けぷっ、美味かったのです。でもまだちょっと食べたりないのですよー。」
「聞こえてるのですよねー?さぁ、君も素直に出てくるのです。」
アキは父に言われた通り、一言も声を漏らさず棚の影で震えていた。
「往生際が悪いのです。もう観念して…ぐっ……かはっ…」
「これは……一体…。」
「はっ、まさか毒を飲んでわざと私に……!」
「グゥゥッ、謀ッタナァァァニィンゲェェンン!!」
その日、彼の愛は伝説になった。
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休み鶴>>
参加者に有無を言わせぬ先入観を植え付ける、惚れ惚れする文章表現です。