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矛盾する乙女」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
友達に誘われてやって来た占いの館。

ウミコは、恋愛運も気になるけれど、なんとなく家族の今後を訊いてみた。

ずっと、ぼんやりとした疑念を胸に秘めているせいかもしれない。

テーブルに置かれた水晶玉に、みんなから癒し系と言われる自分の丸い顔が映っている。

(変な顔…)

「良くないわね!ううん。あなたじゃなくて。血を分けた肉親が二人。親御さんじゃないかしら。なにか硬いものに当って苦しむわ。近いうちにね。気を付けてあげなさい。芋けんぴ食べる?」

よく当たると大評判の、柴咲コウ似の美魔女占い師は言った。

(まさか、…事故?)

ウミコは、母の美しい細面と、父親の端正な顔を思い浮かべて、不安になった。

(イヤだよう。こんな占い、当たらなきゃいいのに)

そう思いつつウミコは、

(でも。当たってくれたら、あたし、救われるかもしれない…)

とも考えている。


ウミコの矛盾する感情に説明を付けていただけますか?
[きまぐれ夫人]

【ウミガメ】20年07月09日 22:39

まだまだ、子ども。

解説を見る
占いが当たって両親が災難に遭えば、自分と血の繋がりがあることが証明される、とウミコは思っているのです。



まんじりともせず朝を迎え、ウミコは重い体を起こした。

超絶美人占い師の元を訪れた日から3日。

(お父さんとお母さん、今日も無事だといいけど…)

のろのろとベッドを出て、鏡を見る。

癒し系の丸顔が、なんだか腫れぼったい。

(変な顔…)

いつからかウミコの心に芽生えた疑念は、今や自分でも持て余すほど大きく膨らんでいた。

両親とは血が繋がっていないんじゃないか、という疑念。

(あんな美男美女の夫婦から、あたしみたいなおてもやんが生まれるはずないもん。それに、あれから3日経つけどなんにも起きないし。どっかであたしの本当のお父さんとお母さんが事故に遭ってるんだ)

溜息を一つついた時、階下から「わーっ!」という声とどんがらがっしゃーん!という音が聞こえた。

慌てて階段を下りる。

ダイニングキッチンに駆け込んだ途端、母と正面から激突し、したたかにおでこ同士をぶつけた。

「なに?どうしたの?」

目から火花を飛び散らせつつウミコが聞くと、母は千鳥足でステップのようなものを踏みながら、

「大変!お父さんがバナナの皮で滑って転んで、落ちてたフライパンに当たっちゃった!」

と、白く美しい細面の顔を父とウミコに交互に向けて言う。

床に目をやると、父が映画俳優並みの端正な顔をしかめて後頭部をさすっている。

父と母、二人の様子を見たウミコは二重の喜びに包まれ、思わず涙した。

(ぐすん。わーい。お父さんとお母さんが硬いものに当たった!ぐすん。あたしと血を分けた肉親だ!あたし、本当の子どもだった!ぐすん。よかった!ぐすん。大事故じゃなくてよかった!おでことフライパンでよかった!わーん)

「イテテ。なんでフライパンが床に落ちてるんだろう?」と呻く父の姿に、ウミコは泣きながら笑った。

そして、心の中で一句詠んだ。


血を分けた  父がイテテと言ったから  七月七日はフライパン記念日


「で?なんで床にフライパン?」
「ゴキブリを閉じ込めてやったのよ。バナナの皮でおびき寄せてね」

おでこをさすりつつ悪戯っ子の笑みで親指を立ててみせる母の顔を見つめて、ウミコは思った。

(神様、この人は本当にあたしのお母さんでしょうか…)
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アカガミ[1問正解]>>コメントなし
もこたろ>>コメントなし
三太郎>>コメントなし
休み鶴>>ウミコはどうしてこんな葛藤を?そこにはウミコの繊細な感情が織り込まれています。
納得部門