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1週間の出張を終え、カメオが久しぶりに自宅に帰って来ると、カメコはいつものように夕食を作っていた。
今日の献立はご飯と味噌汁に、カレイの煮付け、筑前煮、白菜の漬物。どれもカメオの大好物だ。もう50歳も近いカメオは、最近は食欲が湧かず、出張前はカメコの作った料理を残してしまうことが多かったが、この日の夕食はとても美味しく、久しぶりに完食した。
「どう?これならちゃんと食べられるでしょう?」
そう言って微笑むカメコを見て全てを理解したカメオは
「カメコ…すまない…本当にすまなかった……」と泣きながら謝罪した。
一体なぜ?
[ブラダマンテ] [一つ星シェフ]

【ウミガメ】20年07月08日 19:20

今回の出題以後、8月の例の試験終わりまで再びお暇を頂く予定です。

解説を見る
カメオとその妻のウミコは皆が羨むほどのおしどり夫婦で、その一人娘であるカメコも明るく気立てが良い性格で近所の評判も良い。いつも笑顔の絶えない、とても仲の良い3人家族であった。また、ウミコは非常に料理上手で、下手な飲食店よりもウミコの作る料理の方が遥かに美味しいというレベルであり、カメオは結婚前からその味に惚れ込んでいた。カメオとカメコはいつもウミコの料理を楽しみにしていたのだった。

ところが、カメコが高校生になった頃、突如ウミコは重い病気を患い、そのまま亡くなってしまった。残された二人はとても悲しんだが、特にカメオは深く絶望し、生きる希望すら失ったようだといっても過言ではなかった。

ウミコが亡くなった後、カメコが代わりに料理を作ってくれるようになった。しかしカメコの作る料理は、決して不味くはなかったが、ウミコの料理と比べてしまうと天と地ほどの差があった。最愛のウミコを失い食欲が湧かなかったこともあり、カメオは娘の料理ですら全く食べる気が起きなかった。とはいえカメコの気持ちを無下にする訳にもいかないので、カメオは口ではカメコに感謝していたものの、実際には料理に少し口を付けただけで、残りはカメコにバレないように全て捨ててしまっていたのだ。それからもカメオは、カメコが作った料理を少し食べては残りを全て捨て、完食した振りをし続けた。

それからしばらくして、カメオは仕事で1週間ほど出張することになったが、それを終えて帰ってきた日の夕食のことである。その日の献立はご飯と味噌汁に、カレイの煮付け、筑前煮、白菜の漬物。どれも生前にウミコがよく作ってくれていた、カメオの大好物だ。以前までであれば手を叩いて喜んでいたことだろう。言うまでもなく、出張中もほとんど食べ物が喉を通らなかった。もう一度、ウミコの料理が食べたい…。そうしていつものように一口食べたカメオだったが、そこで衝撃を受けた。

その料理の味は、カメオが心から望んでいたウミコの料理と全く同じだったのだ。まるで、生き返ったウミコが生前と同じくこの料理を作ってくれたかのようだった。どの料理も非常に美味しく、カメオは夢中になって食べ進め、いつの間にか完食していた。
その様子を見たカメコは満足そうに、
「お父さん、どう?これならちゃんと食べられるでしょう?私、お母さんのと同じくらい美味しい料理を作るために、一緒懸命勉強したんだよ。お父さん、栄養不足で倒れちゃいそうで心配だったんだから。」と微笑んだ。

それを聞いてカメオはハッとした。カメコは、カメオが本当は料理を全く食べずに捨てていたことに気付いていたのだ。それでもカメコは自分のために料理を作り続けていた。そして、カメオが残さずに食べてくれる…ウミコが作ったのと同じくらい美味しい料理を作るために、カメコはカメオが出張に行っている間、自分の時間も返上して料理を勉強し、努力を重ねたに違いない。ウミコを亡くして悲しかったのは、カメコも同じだったはずだ。それでもカメコは、娘の作った料理を妻の料理と比べてろくに食べずに捨てていた、最低な自分のために……。

「カメコ…すまない…本当にすまなかった……。俺は、父親失格だ……。」カメオはただ泣きながら謝ることしか出来なかった。
「ううん、いいの。これからは二人で力を合わせて生きていこうよ。」
「……そうだな。俺がずっとこんなままじゃ、天国にいるウミコも安心できないよな。ありがとう、カメコ……。」

カメコは決して亡くなった妻の代わりなどではなく、血の繋がった大切な娘なのである。カメオは、カメコが一人立ちするまで責任を持って養うことこそウミコのために自分が出来ることだと考え、悲しみを乗り越えて二人で生きていくことを決意したのだ。

※簡易解説
カメオの最愛の妻ウミコが亡くなって以来、娘のカメコが代わりに料理を作るようになっていた。しかしカメオは抜群に料理上手であったウミコの料理と比べてしまい、妻を失った悲しさもありカメコの料理を食べる気が全く起きなかった。カメオはカメコの気持ちを無下にしないため、いつもバレないように料理をこっそり残して捨てていた。
ところが、ある日カメコの作った夕食はウミコの料理と遜色ないほど美味しいものであった。カメオは、カメコが料理を捨てられていることに気付いていながらも自分のために料理の努力をしていたと知り、カメコに感謝するとともに自らの行為を後悔して泣きながら謝罪した。

※元ネタとして、漫画版の「ミスター◯っ子(作:寺沢◯介)」にこんな感じの話がありました(小声)。
タイトルの元ネタは◯inema ◯taffというバンドの曲名。
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もこたろ>>コメントなし
アカガミ[1問正解]>>コメントなし
猫又>>コメントなし
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特攻トマト>>コメントなし