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弔いの夜」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
私の姑が亡くなった。よく働く気っ風の良い優しい人だったけれど、
夏の暑さに弱っていたところに夏風邪を引いてそのままぽっくりと逝ってしまった。
悲しみに暮れる間もなく弔いの準備で慌ただしい家の中で、寝かされた姑の横に少女がかがみ込んでいるのに気付いた。
少女は辺りを気にしながら姑の経帷子の合わせになにかをそっと滑り込ませ、
誰にも見咎められないうちにまたさっとその場を離れた。
訝しく思った私は一人になった時を見計らって、少女が忍び込ませたものを取り出し確認した。

しかし疑問は大きくなるばかりだった。あの子はなぜこんなものを──?
[ヘル信]

【ウミガメ】20年06月11日 18:15

元ネタはとある小説です

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少女は"おみつ"と言った。
貧しい百姓の家から袋物屋の伊東屋に女中奉公に来て、まだ一年の娘だ。
おみつは奉公に上がる少し前に母親を流行り病で亡くしている。おみつの故郷は土葬の習慣であったが、
これ以上感染が広まらないように、母の骸(むくろ)は同じように死んだ村人と一緒に燃やされた。
荼毘に付される母は一人の墓に入れられることもなく、貧しさと流行り病の混乱で満足に弔ってもらうこともできない。
おみつはそれが耐えられず、母の髪を一房切り取ったのだった。

おみつは紙に包んだ母の遺髪をずっと持っていた。そんな中、伊東屋のお内儀さんが亡くなった。
豊かなこのお店(たな)であれば、お坊さまを呼んで念仏を唱えてもらえる、立派なお供え物をそなえてもらえる。
そう思い、おみつは母の遺髪を一緒に供養してもらおうとそっと忍ばせたのだった。

私は、泣いて経緯(ゆくたて)を話したおみつを咎めないことにした。そして誰にも話さず、髪もそのままにすると言った。
おまえのおっかさんの魂は、きっとお義母さんが極楽へ連れて行ってくださるからね。
私はおみつのおっかさんと、優しかったお義母さんを思って、そっと手を合わせた。
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全体評価で良質部門
雲野いちか>>コメントなし
トリック部門
雲野いちか>>コメントなし
物語部門
ゆり彦>>コメントなし
てらさき>>コメントなし
雲野いちか>>コメントなし
納得部門
八つ橋>>コメントなし
雲野いちか>>コメントなし