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旅の途中、私はとある館に通りかかった。日が傾きだした付近には他に民家がなく、その館を尋ねることにした。

10歳くらいの少女が館の庭先で遊んでいた。
彼女に挨拶をして館の主人はいるだろうかと尋ねると、カメ子というその少女は、
「家長のおじいさまは膝と腰が悪くあまり部屋から出てこない、お父さまは今書斎に籠もっているかも」
と言いながら母親を呼んできてくれた。夫人に事情を話すと、彼女は私を快く招き入れてくれた。
お茶を出してくれた夫人に、館の主のご体調が優れないそうですがと聞く。
それほど重いものではありませんわと笑った。
「食事は一緒にとっておりますし足腰が弱りはしておりますが、父も歳ですから。ええ、わたくしの父です。
 父には息子が─わたくしの弟ですが─おりますが、長子相続ですので父がいずれ隠居しましたら、
 わたくしがこの館の主人になります。子供たち…亀夫とカメ子の代でどうするかはあの子達に任せるつもりですわ。」

ありがたいことに夕餉にも招待された。しかしその準備が進むに連れ、私にはじわじわと恐怖が生まれた。
夫人が食事の前の祈りを捧げ、一家が復唱する。妙な祈りだ。
私はあまりの恐ろしさに食事もほとんど喉を通らず、宿泊の誘いを固辞して館を飛び出し、ほうほうの体で逃げ出したのだった。

何が起こったのか?
[ヘル信]

【ウミガメ】20年06月10日 20:10

むかし別所で出題したものです。万が一ご存じの方いましたら見守ってください

解説を見る
館の主人、夫人と夫人の夫、夫人の弟、カメ子と亀夫…
…私を含めて7人座るべき一家の食卓についているのは……5人だけだ。

「ふふ、そうですわ、旅のお方。亀夫はカメ子の父であり兄であり叔父なのです。
 ええ、つまりわたくしは自分の父と通じて子を産み、その子と交わってカメ子を産んだのです。」
恐る恐るの私の問いに、夫人はバターでてらてら光る白身魚を優雅に口に運びながら言った。
「けれど、カメ子にとっての亀夫は、父・兄・叔父……実はどれも一番正しくはありませんの。
 ふふ、我が神の堕とし子がお宿りになる日も遠くはないのです。」
夫人は恍惚として言った。美しい夫人の顔が、亀のような、おぞましい爬虫類のように見えた。
「いずれ時が来れば、亀夫はカメ子の旦那様になるのですわ。」

『燃えるべき館』
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