燃える・館」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
旅の途中、私はとある館に通りかかった。日が傾きだした付近には他に民家がなく、その館を尋ねることにした。

10歳くらいの少女が館の庭先で遊んでいた。
彼女に挨拶をして館の主人はいるだろうかと尋ねると、カメ子というその少女は、
「家長のおじいさまは膝と腰が悪くあまり部屋から出てこない、お父さまは今書斎に籠もっているかも」
と言いながら母親を呼んできてくれた。夫人に事情を話すと、彼女は私を快く招き入れてくれた。
お茶を出してくれた夫人に、館の主のご体調が優れないそうですがと聞く。
それほど重いものではありませんわと笑った。
「食事は一緒にとっておりますし足腰が弱りはしておりますが、父も歳ですから。ええ、わたくしの父です。
 父には息子が─わたくしの弟ですが─おりますが、長子相続ですので父がいずれ隠居しましたら、
 わたくしがこの館の主人になります。子供たち…亀夫とカメ子の代でどうするかはあの子達に任せるつもりですわ。」

ありがたいことに夕餉にも招待された。しかしその準備が進むに連れ、私にはじわじわと恐怖が生まれた。
夫人が食事の前の祈りを捧げ、一家が復唱する。妙な祈りだ。
私はあまりの恐ろしさに食事もほとんど喉を通らず、宿泊の誘いを固辞して館を飛び出し、ほうほうの体で逃げ出したのだった。

何が起こったのか?
20年06月10日 20:10 [ヘル信]
【ウミガメ】
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