探偵喫茶Latteの事件ファイル　狙われたスープ

海野和也は喫茶店の経営者なのだが、何が悪いのか全くお客が来ず閑古鳥が鳴く毎日。
そこで何か1つでも話題になるものを作ろうと、看板メニューの開発に取り掛かった。
がしかし、なかなか上手く行かない。

「自分だけでは発想に限界がある。他の店のメニューを参考にしてみよう。」
そう思い立ち、海野は近辺の飲食店巡りをする事にした。
そして何店舗か目で、純喫茶Latteに辿り着いたのである。

海野はそこのスープの味に感動した。どうにかこの味を盗めないかと考え、毎日通う様になった。
しかしスープは日替わりであり種類もそこそこ多い為、なかなか掴めずにいた。
諦めるには惜しい味。彼はスープのレシピを盗み出せないかと考え始めた。

店内には防犯カメラ(ハリボテだったが)があり、閉店後に侵入してもすぐに捕まってしまうだろう。
そもそも、どこに置いてあるのかも分からない状態で探すのは悪手だ。

………なら、マスターから直接聞きだすのが一番良い方法ではないか？
幸い、マスターは女性だ。押さえつけるのは簡単だろう。
それにここは1本入った路地。そんなに人通りはないはずだ。
店の２階部分が自宅だと聞いたから、閉店後に帰宅するタイミングを狙う事にしよう。


そして決行日。閉店し店から出てきたマスターに、目出し帽を被った海野が近づき後ろから組み付いた！

マスター「！？」
海野「動くな。騒いだら命の保証はないぞ。」

こう、海野がマスターを脅迫していたその時だった。

「おいそこの奴！マスターに何をする気だ！！」

突然のタックルを受けて倒された海野。そこにいたのは、毎日のように店にいた青年だった。
海野はそのまま取り押さえられ、警察に連行された。


「丁度買い物帰りの透真さんが来てくれて良かったですよ。私1人では抵抗出来なかったでしょうし。」
「ホントだよ。まさかレシピを盗むのに、マスターの方を狙うとはね…。」

そう、事件を振り返る透真とマスターだった…。