モーニングコール*10

カメオはアパートで一人暮らしをしている青年である。つい先日、やっと気になる女の子とデートの約束をすることができた。

(明日はカメコちゃんとのデート、絶対に遅刻するわけにはいかない。起こしてくれる人はいないし目覚まし時計をつけよう……でも、寝ぼけて止めたらどうしよう？)
(……寝ぼけたままじゃ止めきれないくらい沢山、目覚まし時計をセットすればいいんだ！)

カメオは急いで目覚まし時計を買い占め、すべてセットし、安心して就寝した。


〜次の日〜

ジリリリリリ！！
(むにゃ……)
ジリリリリリリリ！！
(うるさいな…………)
ジリリリリリリリリリ！！
「わかったよ起きるよ！　……やった、成功だ！！」

その時、喜ぶカメオに水を差すようにチャイムが鳴る。

「ん……？　何かご用ですか？」
「隣の海野ですけど、このベルの音ってお宅よね」
「ええ、そうで……」
「朝からうるさいのよ！　近所迷惑だわ！！」

そう。壁の薄いアパートで、10個もの目覚まし時計が鳴り響くのだ。
お隣さんの憤りはそれはもう凄まじく、「ゴミの分別をしない」「挨拶を無視した」「鼻歌の音程がズレてる」などなど関係ないところにまで渡った。勢いに押されたカメオはただただお説教を耐え忍ぶことしかできず……、

お隣さんがやっと去っていった後、カメオは恐る恐る部屋に戻って時計を確認した。
あれから小一時間。今から急いでも、確実に遅刻してしまうだろう。カメオは昨夜の行動を深く後悔した。

(ああ、これなら目覚まし時計を10個もつけるなんてしなければよかったな……)



要約
大量の目覚まし時計を一度に鳴らしたせいで、アパートのお隣さんに長々と叱られる羽目になり、結果として遅刻確実の時間になったために「あんなに鳴らすんじゃなかった」と後悔した。