人を呪わば穴一つ

略解
特殊な藁人形を買ったカメオ。これは「お守り」にもなる藁人形で、
藁人形に名前を書いた人は、藁人形が傷つかない限り身体に傷がつかないという代物であった。
これを使用したことで無敵になったカメオだったが、
厳重に箱にしまったせいで藁人形側の酸素が足りなくなり窒息することに気がついたため、絶望したのだ。




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カメオは藁人形に自分の名前を書いた。
これには訳がある。

藁人形に釘を打ち込むと対象に被害が及ぶ。
ならば、名前を書いた藁人形が傷つかないように保管すれば
対象は無敵になるのでは…？

カメオはこう考えたのだ。

何か良い藁人形はないかとインターネットで調べていると、「魔法の藁人形」なるものを見つけた。
これは「お守り」にもなる藁人形だという。

気になったカメオは早速購入した。50,000円くらい安いものだ。
藁人形に名前を書いたところで、試しに自分の腕に縫い針を刺してみる。
痛みこそ走るが傷一つつかなかったことで、カメオの仮説は確信に変わった。

カメオは高揚感に包まれた。
この藁人形を傷つけられないように箱に保管しておけば…！
彼は頑丈な金庫に人形を入れ、鍵を壊して念入りに封印した。
誰にも、自分でも開けられることのないように。

その日、カメオはできる限りの無茶をした。
トラックの目の前に出て轢かれたり
高層ビルから飛び降りたり
自分に火をつけたりした。

痛みや暑ささえ我慢してしまえばどうってことない。
カメオは子どもの頃に見た正義のヒーローになった気分であった。
次の日に何をしようか妄想しながら、カメオは床についた。



ーーーしかし次の日、カメオは息苦しさで目を覚ます。
息を吸っても吸っても酸素が足りない。

カメオ「まさか…

箱 の 中 の 酸 素 が 減 っ て い る の か ？

…まずい！」

カメオは金庫を開封しようとした。
しかし、刃物を突き立てても鈍器で殴っても開けることはできない。
当たり前だ。何があっても開けられないようにしたのだから。


カメオ「カハッ……。はぁ…はぁ…ヒュー…」

暴れまわってしまったせいでさらに酸素が足りなくなってきた。
無敵の体を手に入れたはずの自分の最期が窒息だなんて…！

カメオは絶望し、そのまま生き絶えた。