本好きの彼女

「今日、あたしの家に遊びにこない？」
「えっいいの？もちろん行くよ！」

僕は緊張していた。前から気になっていた彼女から
まさかの家デートのお誘いが来たからだ。

(今日こそ伝えるべきか・・・)

彼女の部屋に入るとそんな思いが溢れてきた。
だが失敗した時のことを考えるとなかなか勇気が出ない。
そんな僕の心を見透かしたように彼女が笑っていた。

(そういえば、あそこの本棚に並べてある本、一箇所だけ妙にバラバラだな)
本好きのカメコはたくさん本を持っていたが、しきりで8つに分けられているうちの1つだけが、
ジャンルも大きさもバラバラだった。

『ワインの基礎知識』
『TATAMI写真集』
『診察室殺人事件３』
『はらぺこあおむし』・・・

(・・・あれ、これってもしかして！)
左から順に頭文字をとって読んでみると、

わ　た　し　は　あ　な　た　が　す　き　で　す

そう、カメコはなかなか言い出すことのできないカメオを
見かねて背中を押すために暗号を隠していたのだ！

(・・・ここまでされて引き下がるわけにはいかないな。)
「カメコさん、ちょっと本を動かしてもいいかな。」
「ええ、構わないわ」

カメオは『はらぺこあおむし』を取って、代わりに『もっと幸せになる方法』を入れた。
「カメコさん、僕と付き合ってください！」
「ふふ、ようやく言ってくれたわね。本を読んだ甲斐があったわ。
　・・・もちろん、YESよ」