シザーガール

カメミは彼氏であるウミオとのデートにお洒落なワンピースを着ていた。
ところがデートの帰りにカメミは急激に体調が悪化し、そのまま意識を失い倒れてしまった。

突然彼女であるカメミが倒れ慌てふためくウミオの元に人だかりができる中、野次馬の中へ駆け寄ってきたのは見ず知らずのラテコであった。
ラテコは「貴方はすぐに救急車を呼んでください！」とウミオに指示し、「そこの赤い服の女性の方！急いであそこのコンビニからＡＥＤを持ってきてください！」「男性は離れて！女性の方、前に出て協力してください！」と周囲にも指示を飛ばしていく。
ラテコはカメミの脈・呼吸を確認するや否や、躊躇いもなく人工呼吸や心臓マッサージを行う。

そしてラテコは指示を受けた女性が持ってきたＡＥＤを開き、電子音声に従い処置を施す。
しかしＡＥＤの電極を素肌に当てなければならないにも関わらず、カメミがワンピースを着ているが為に服を開く・捲し上げることが出来なかったため、ラテコは「服切りますよ！」と声を掛けるなりポーチから取り出したハサミでカメミのワンピースを切り裂いたのだ。
しかし事前の呼びかけでカメミの周囲にはウミオを除いて女性が壁になっており、服を切り裂かれたカメミは男性の野次馬からあまり見えない状況になっていた。
間もなくして救急車が到着し、ウミオとラテコ同行の元カメミは病院へと搬送された。

「貴女は看護師かなにかですか……？」
「いえ、つい先日免許講習の一部でＡＥＤの講習があっただけなんです……」

医療従事者ですらないというラテコの心肺蘇生の甲斐あってか、なんとか息を吹き返したカメミは病院で無事に意識を取り戻し、一時的心停止による多少の麻痺はあれど命に別状はないという。
ウミオから自分が倒れた時に起こった一部始終を聞いたカメミは、一張羅のワンピースを切り裂いてしまうことを含め迅速な判断をしてくれた命の恩人であるラテコに感謝したのであった。



「ところで、ウミオ君はそのとき何をしてくれたの？」
「えっと・・・救急車を呼んだのが僕だよ！」