新入社員と海のギャング

海亀商事は有名企業であり、ライバル企業からスパイが送られてくることがあった。

ウツボ課長は、そんなスパイを見つけ出す仕事を担っていた。間近で社員の行動を観察し、少しでもあやしいと思うものがいれば、きびしく当たるのだ。
普通の社員であれば、この時代、すぐにブラックだと不平を漏らしたり、もしくは泣き寝入りしたりする。しかしスパイであれば、どんな時でも会社に尽くす忠誠心を見せ、こちらを信頼させようとするのだ。

今回は、新入社員をチェックしていた。しかし、その中でも、カメコは普通だった。
ミスも多く、嫌味に対しくじけそうにもなる。よくいる普通な社員だった。まさかそこまで計算して·····？

だからこそ、見逃してしまった。我が社の機密事項が漏れるなんて。
ああもっともっと厳しく見ておくべきだった。

一方ライバル企業・陸亀商事ーー
今まで平凡な成績だったカメコの快挙に、上司は驚いていた。一体どうやってあの有名企業から？
カメコからの報告を受け、上司は、普通だというのも一つの才能か、とカメコを再評価した。