【オマージュ】Phantom30

前日、アキラはベッドの頭側にある壁にプレゼントされたアナログ式壁掛け時計を取り付けた。
配置の関係上、ベッドから体を起こした状態では直接時計を視認する事が出来ない。
そのため、時計を見るには体を起こした後、後ろを向く必要があった。

ところで、アキラの部屋ではベッドの足元側にある壁の側に姿見が設置されている。
二度寝に気付いて起きたアキラの目に写ったのは、その姿見に写った時計の文字盤。
それは鏡越しなので当然反転しているのだが、慌てたアキラはそれをそのまま読んでしまった。

これが全く違う時間なら気付いたのかもしれないが、現在時刻は六時十五分。
反転した状態の文字盤は五時四十五分を示しており、比較して三十分のずれでしかない。
それまで壁掛け時計を使っておらず、鏡越しに文字盤を見る経験がなかったのも一因だろう。
結局アキラは思ったより寝ていなかったと考えるに留まり、間違いに気付けなかったのだった。

その後、連絡もせず遅刻したアキラが彼女の機嫌を損ねてしまったのは言うまでもない。

つまり？：鏡越しに見た文字盤をそのまま読んでしまい、六時十五分と五時四十五分を間違えたため。
別解：上記と同様の流れで、十二時十五分を十一時四十五分と間違えたため。