時は江戸時代。
身長2mを超える巨体を持ち、江戸中の人を震え上がらせたが、その名を聞いて誰もが呆れた、
その力士の四股名を漢字3文字で答えよ。
身長2mを超える巨体を持ち、江戸中の人を震え上がらせたが、その名を聞いて誰もが呆れた、
その力士の四股名を漢字3文字で答えよ。
20の扉
No.33[アカミドリ]02月29日 00:1902月29日 00:21
その四股名は生前であれば誰から聞かれても呆れられることはなかったですか?
んー、YESNO! 生前は生前で呆れられるような四股名です [良い質問]
死因は重要じゃないとしましたが、自殺しようとしてたところからの事故死です。
No.47[まんと]02月29日 00:2902月29日 00:32
現代日本では成立しないのは、言葉遊びによって史実とは異なる現象が起きているからです。 メタい!
(24)が重要です! 幽霊だから怖れられていただけです!
参加者一覧 4人(クリックすると質問が絞れます)
全員
アカミドリ(23良:7正:1)
まんと(15良:1)
ダニー(10良:3)
きっとくりす(3良:1)
かつて江戸中を引っくり返した幽霊話がありまして。
草木も眠る丑三つ時、川沿いの柳の木の隣に幽霊が現れる。そんな噂が流れ出した。
一見よくある怪談のようでそうじゃない。柳の木の『下』じゃない、『隣』ってんでお察し願いたい。その幽霊ってのが見上げるような大巨人。柳の木の下にゃぁ収まらないから仕方なしに隣に立ったというんだから馬鹿にデカい。
身の丈が六尺あれば巨人と言われる江戸の世で、その幽霊を見た人によると八尺あるってんだから、人の姿はしているものの人の世から出たものじゃない、異形の怪物だと江戸中の人間が震え上がった。
そんな中、これは飯の種になるんじゃないかと思い立ったのがうだつの上がらない一人の瓦版屋。語るところによると現代のゴシップ誌の始祖に当たる男だっていうんだから大悪人。
コイツが一人真夜中に、川沿いの柳の木を物陰からじっと見張っていた。散々待ってウトウトとしてきたところで、どこか遠くから鐘の音が聴こえたかと思うと、柳の木の隣に白い巨体がスウーッと浮き出てきた。
思わずギャッと出そうになった声を飲み込んで物陰から窺う瓦版屋。すると聴こえてくるのがまるでオットセイのような唸り声。またギャッと出そうになった声を喉奥へと押し戻す瓦版屋。この声を聴いていたら呪われるんじゃないか、いやここで特ダネを掴まなきゃぁ食いっぱぐれて死ぬだけだ。そう覚悟を決めて耳をそばだててみると、
「どすこいぃぃ……どすこいぃぃ……」
は~あ、あの幽霊はん、小刀を呼んではる。……なんてくだらない洒落を言ったとか言わないとか。気を取り直して瓦版屋、幽霊の姿をよーく見ると、そりゃぁデカいワケだと合点がいった。
あれに見えるはちょっと前におっ死んじまった相撲取りの『枯尾花』。元より身の丈が七尺あった大巨人。そんなのが真っ暗闇の中に真っ白な死に装束で化けて出たんだから、そら身の丈八尺と見まがうばかりの大化け物って寸法だ。
ところが瓦版屋、困り果てた。これじゃあ飯の種になりそうもない。
と言うのもこの枯尾花、生前まるで人気が無かった。
そもそもこの枯尾花って四股名が悪い。入門してきて早速稽古をする男を見た親方、他の力士に比べて頭三つは高いってんで富士ノ山と名付けようとも思ったが、身長は高いが恰幅が悪い。山とは呼べない、木にするか。一本杉、いや杉と呼ぶには軟弱だ、独活ノ大木、木偶ノ坊……そうだ柳にするか、いやぁどんな力も受け流す柳と違って押したらポキリ、こりゃ枯れススキだってんで枯尾花。酷い四股名があったもんで。
名は体を表すと言ったものか看板に偽り無しと言ったものか、この枯尾花、散々体格に恵まれたにも関わらず生涯一勝たりとも挙げなかった史上最弱力士。
一度預かったからにはってんで親方も面倒を見続けたが、入ってからはロクに稽古もせずに食っちゃ寝を繰り返すだけの昼行燈。いやぁあれは行燈じゃない提灯だ、大きく伸ばしたところで中は空、って酷い言われようをしたもんで。
提灯力士と仇名されてから困ったのが他の力士。吊ってなんぼの提灯だ、って客から野次られるもんだから、枯尾花の巨体をどうにかこうにか吊り出ししなくちゃならなくなった。
通算三百敗したところで相撲も生きるのも嫌になったか首吊りを決意。稽古場の一番高い梁に縄を結んでその輪を首に括って南無三!と踏み台を蹴飛ばしたものの着地しちゃったんだから首も様も締まらない。
どう死んだもんかなと表をぶらぶら歩いてたらその巨体を見て驚いた犬にワンワンワンワンッ!と吠えられて驚いて滑って転んで頭を打ってご臨終。犬相手に三百一敗目を喫してどこまでも締まらない。
腹に据えかねた瓦版屋、枯尾花の前に躍り出た。
「やいやいやい、枯尾花!」
「うひゃぁ出たぁ!!」
幽霊のクセに人間に驚いて、尻餅付いたが三百二敗目。
「出たはこっちの台詞だ!なんだってお前みたいな大男が化けて出るんだ!幽霊ってのはユラユラ揺れるから幽霊って言うぐらいなもんだ。お前みたいなドシドシした幽霊があるもんか!」
「そそそ、そう言われましても。ワシのことを知ってるならご存知でしょうが、生涯一度も勝ち星を挙げられなかったことがどうにも心残りで、成仏できずにおります」
「ロクに稽古もしなかったテメェの落ち度じゃねぇか!折角の瓦版の種が大外れで、こちとらおまんまの食い上げでぇ!潔く成仏しやがれってんだ畜生め!」
「そそそ、そう言われましても。だ、旦那、ここで会ったも何かの縁、ワシが成仏できるよう手助けしてくだせぇ」
「成仏ったって、要は誰かに勝ちたいってんだろ? 相手に触れもできないんじゃ相撲の取りようがねぇじゃねぇか」
「そそそ、そう言われましても」
「ったくどうしたもんかねコイツは……ははーん!良いことを思い付いた。また明日来るから楽しみにしとけ!」
そう言って瓦版屋、帰るや否や大急ぎで瓦版を刷り上げると、夜明けと共に号外!号外!と江戸中にばら撒いた。その瓦版の見出しこそが、
「幽霊の 正体見たり 枯尾花」。
さあ、その日の丑三つ時。瓦版屋が川沿いに行ってみたら見物客でごった返し。別に枯尾花に人気があってのことじゃあない。もう怖くなくなったもんだから興味本位の野次馬が集まっただけのこと。そのついでにと出店も出てるんだから飲んで食っての大騒ぎ。
「よう枯尾花!えらい盛り上がりようで!」
「ようじゃないですよ旦那ぁ!なんですかいこれは!こっちが幽霊だからって石を投げるわ体をすり抜けるわ、相撲取りだからって塩を撒いてくるわで酷いもんでさぁ!」
「まあまあまあ。だがこれでどうだい、成仏できるだろう?」
「どこがですか!ワシは勝ち星を挙げたくて成仏できないんであって、人恋しかったワケじゃないんでさぁ!」
「気付かないかい?枯尾花、お前さん、江戸中の人間に土を付けたんだよ」
「どどど、どういうことですか?」
「全員『肩すかし』でズッコケた」
おあとがよろしいようで。
草木も眠る丑三つ時、川沿いの柳の木の隣に幽霊が現れる。そんな噂が流れ出した。
一見よくある怪談のようでそうじゃない。柳の木の『下』じゃない、『隣』ってんでお察し願いたい。その幽霊ってのが見上げるような大巨人。柳の木の下にゃぁ収まらないから仕方なしに隣に立ったというんだから馬鹿にデカい。
身の丈が六尺あれば巨人と言われる江戸の世で、その幽霊を見た人によると八尺あるってんだから、人の姿はしているものの人の世から出たものじゃない、異形の怪物だと江戸中の人間が震え上がった。
そんな中、これは飯の種になるんじゃないかと思い立ったのがうだつの上がらない一人の瓦版屋。語るところによると現代のゴシップ誌の始祖に当たる男だっていうんだから大悪人。
コイツが一人真夜中に、川沿いの柳の木を物陰からじっと見張っていた。散々待ってウトウトとしてきたところで、どこか遠くから鐘の音が聴こえたかと思うと、柳の木の隣に白い巨体がスウーッと浮き出てきた。
思わずギャッと出そうになった声を飲み込んで物陰から窺う瓦版屋。すると聴こえてくるのがまるでオットセイのような唸り声。またギャッと出そうになった声を喉奥へと押し戻す瓦版屋。この声を聴いていたら呪われるんじゃないか、いやここで特ダネを掴まなきゃぁ食いっぱぐれて死ぬだけだ。そう覚悟を決めて耳をそばだててみると、
「どすこいぃぃ……どすこいぃぃ……」
は~あ、あの幽霊はん、小刀を呼んではる。……なんてくだらない洒落を言ったとか言わないとか。気を取り直して瓦版屋、幽霊の姿をよーく見ると、そりゃぁデカいワケだと合点がいった。
あれに見えるはちょっと前におっ死んじまった相撲取りの『枯尾花』。元より身の丈が七尺あった大巨人。そんなのが真っ暗闇の中に真っ白な死に装束で化けて出たんだから、そら身の丈八尺と見まがうばかりの大化け物って寸法だ。
ところが瓦版屋、困り果てた。これじゃあ飯の種になりそうもない。
と言うのもこの枯尾花、生前まるで人気が無かった。
そもそもこの枯尾花って四股名が悪い。入門してきて早速稽古をする男を見た親方、他の力士に比べて頭三つは高いってんで富士ノ山と名付けようとも思ったが、身長は高いが恰幅が悪い。山とは呼べない、木にするか。一本杉、いや杉と呼ぶには軟弱だ、独活ノ大木、木偶ノ坊……そうだ柳にするか、いやぁどんな力も受け流す柳と違って押したらポキリ、こりゃ枯れススキだってんで枯尾花。酷い四股名があったもんで。
名は体を表すと言ったものか看板に偽り無しと言ったものか、この枯尾花、散々体格に恵まれたにも関わらず生涯一勝たりとも挙げなかった史上最弱力士。
一度預かったからにはってんで親方も面倒を見続けたが、入ってからはロクに稽古もせずに食っちゃ寝を繰り返すだけの昼行燈。いやぁあれは行燈じゃない提灯だ、大きく伸ばしたところで中は空、って酷い言われようをしたもんで。
提灯力士と仇名されてから困ったのが他の力士。吊ってなんぼの提灯だ、って客から野次られるもんだから、枯尾花の巨体をどうにかこうにか吊り出ししなくちゃならなくなった。
通算三百敗したところで相撲も生きるのも嫌になったか首吊りを決意。稽古場の一番高い梁に縄を結んでその輪を首に括って南無三!と踏み台を蹴飛ばしたものの着地しちゃったんだから首も様も締まらない。
どう死んだもんかなと表をぶらぶら歩いてたらその巨体を見て驚いた犬にワンワンワンワンッ!と吠えられて驚いて滑って転んで頭を打ってご臨終。犬相手に三百一敗目を喫してどこまでも締まらない。
腹に据えかねた瓦版屋、枯尾花の前に躍り出た。
「やいやいやい、枯尾花!」
「うひゃぁ出たぁ!!」
幽霊のクセに人間に驚いて、尻餅付いたが三百二敗目。
「出たはこっちの台詞だ!なんだってお前みたいな大男が化けて出るんだ!幽霊ってのはユラユラ揺れるから幽霊って言うぐらいなもんだ。お前みたいなドシドシした幽霊があるもんか!」
「そそそ、そう言われましても。ワシのことを知ってるならご存知でしょうが、生涯一度も勝ち星を挙げられなかったことがどうにも心残りで、成仏できずにおります」
「ロクに稽古もしなかったテメェの落ち度じゃねぇか!折角の瓦版の種が大外れで、こちとらおまんまの食い上げでぇ!潔く成仏しやがれってんだ畜生め!」
「そそそ、そう言われましても。だ、旦那、ここで会ったも何かの縁、ワシが成仏できるよう手助けしてくだせぇ」
「成仏ったって、要は誰かに勝ちたいってんだろ? 相手に触れもできないんじゃ相撲の取りようがねぇじゃねぇか」
「そそそ、そう言われましても」
「ったくどうしたもんかねコイツは……ははーん!良いことを思い付いた。また明日来るから楽しみにしとけ!」
そう言って瓦版屋、帰るや否や大急ぎで瓦版を刷り上げると、夜明けと共に号外!号外!と江戸中にばら撒いた。その瓦版の見出しこそが、
「幽霊の 正体見たり 枯尾花」。
さあ、その日の丑三つ時。瓦版屋が川沿いに行ってみたら見物客でごった返し。別に枯尾花に人気があってのことじゃあない。もう怖くなくなったもんだから興味本位の野次馬が集まっただけのこと。そのついでにと出店も出てるんだから飲んで食っての大騒ぎ。
「よう枯尾花!えらい盛り上がりようで!」
「ようじゃないですよ旦那ぁ!なんですかいこれは!こっちが幽霊だからって石を投げるわ体をすり抜けるわ、相撲取りだからって塩を撒いてくるわで酷いもんでさぁ!」
「まあまあまあ。だがこれでどうだい、成仏できるだろう?」
「どこがですか!ワシは勝ち星を挙げたくて成仏できないんであって、人恋しかったワケじゃないんでさぁ!」
「気付かないかい?枯尾花、お前さん、江戸中の人間に土を付けたんだよ」
「どどど、どういうことですか?」
「全員『肩すかし』でズッコケた」
おあとがよろしいようで。
相談チャットです。この問題に関する事を書き込みましょう。
ブックマーク(ブクマ)って?
自分が正解した問題・出題者への賛辞・シリーズ一覧・良い進行力など、基準は人それぞれです。
自分専用のブックマークとしてお使い下さい。
Goodって?
「トリック」「物語」「納得感」そして「良質」の4要素において「好き」を伝えることができます。
これらの要素において、各々が「良い」と判断した場合にGoodしていきましょう。
ただし進行力は評価に含まれないものとします。
ブクマ・Goodは出題者にとってのモチベーションアップに繋がります!「良い」と思った自分の気持ちは積極的に伝えていこう!
物語:4票良質:3票ブクマ:4
自分が正解した問題・出題者への賛辞・シリーズ一覧・良い進行力など、基準は人それぞれです。
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Goodって?
「トリック」「物語」「納得感」そして「良質」の4要素において「好き」を伝えることができます。
これらの要素において、各々が「良い」と判断した場合にGoodしていきましょう。
ただし進行力は評価に含まれないものとします。
ブクマ・Goodは出題者にとってのモチベーションアップに繋がります!「良い」と思った自分の気持ちは積極的に伝えていこう!