いつも君を見てるよ

はじめてのおつかいを見守っていたが、家で待つことに決めたから。

　ウミオは地図を見ながらスーパーの場所を探していた。
　スーパーをやっと見つけると、今度は買い物リストを出して買うものを確認していた。
　そんなウミオが心配で、カメコはついつい尾行してしまう。
「今のところは大丈夫みたいだけど……途中で危険な目に遭わないか心配だわ……」
　カメコがスーパーの周りを怪しい動きで徘徊しているのを見かけた水平巡査は、思わずカメコに声をかけた。
「……あのー。あなたこんなところで何をしているんですか？」
「ほっといて！　いまスーパーにいるウミオちゃんを見てるところなんだから！」
「えっ」
　……なんだこの堂々としたストーカーは。
　水平巡査は益々カメコを怪しんで交番に引きずり込んだ。

「なるほど……息子さんがはじめてのおつかいだったわけですね」
「そうなんですよ。もう心配で心配で……」
「でもそういうことなら、やっぱり家で待っていた方がいいと思いますよ」
「そうか……そうよね。やっぱり過保護になりすぎだったかしら」
「いえいえ、お気持ちは十分わかります。だからこそ、かもしれません」
「……？」

　カメコはウミオの帰りを待った。
　スーパーとの距離はそこまで遠くないはずだが、カメコはなぜか行きで見守っていた時よりも時間が長いように感じた。
　こんなに時間が長く感じるものだったかしら……そんなふうにカメコは思った。

　もうじき日が暮れようとするころ、扉が開く音がして、カメコはすぐさま玄関に駆け寄る。

「……へへ。ただいま！」
　ウミオは沈む夕日を背にして笑った。その顔は少したくましい顔つきにも見えた。
　正面の太陽が少し眩しくて、カメコはじわりと涙を溜めた。
　ウミオの影は、いつもより長く伸びていたような気がした。