雨の日に客のいない喫茶店で読書するのに憧れる。

正解要約：
雨に降られた俺は店主に水も滴るいい男だと皮肉られ、仕方なく店主のダサい服を借りた。

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以下解説：

ザバアァァァァァァ！！

突然のゲリラ豪雨に見舞われた挙句、通りすがりのトラックに水ハネされた俺は、
たまらず近所の喫茶店に飛び込んだ。
幸い店に客はおらず、店主が一人カウンターを磨いていた。

「いらっしゃ･･･やだちょっとぶ濡れじゃない。」
店主は俺を見るなりそう言った。
「仕方ないでしょ急に振ってきたんだから。ちょっと雨宿りさせてよ。」
「あーあ、水も滴るいい男ねー。いつもの３倍位カッコいいわよ。」
ここの店主は美人だがこういう人を食った物言いをする。
･･･まあ、その辺も気に入って通っているのだが。
「そんな色男が店にいたんじゃ床が濡れて困るじゃない。今着替え持ってくるからちょっと待ってなさいよ。」
「え！着替えって店長のかよ！嫌だよだったらこのままでいいからタオル貸してよ！」
「大丈夫よゆったりしたの持ってくるから。あんたガリガリだし、入るわよ。」
そう言って店主は店の奥に入っていった。

「そういう問題じゃねえよ･･･。」
所在なく佇んでいると店主はすぐに着替えとタオルを持ってきた。
「はい。あっちで着替えてきて。」
言われるままに俺は店のトイレで着替えることにした。
渡されたのは袋に入った新品の部屋着だった。
安心したようながっかりしたような心持ちで袖を通した。
着替えて出てきた俺を見て店主は笑い出した。
「ふっ･･･か、可愛いわよ。にあっ･･ふふっ似合ってるわよ。あはははっ」
「笑うなよ畜生。」
ラメ入りロゴのピンクの上下を着た俺はふてくされながらカウンターの一番奥に座った。
「濡れてる服貸しなさいよ。乾燥機に入れといてあげるから。」
「うう･･･すんません。」
「ここまでしてあげたんだからちょっといいもの頼んでよ。ブルマンなんてどう？」
「ふざけんなよだったら濡れて帰る方がマシ。ブレンド頂戴。」

雨足はまだ衰えず、雨音は大きい。店の奥で小さくうなる乾燥機と、豆を挽く音。
丈の足りない服の裾を引っ張りながら、店主の服のセンスの悪さに小さく笑う俺だった。