ある雨の日の電車。
私は、目を覚ますと慌てて車外へ飛び出した。
居眠りのせいで降りる駅を逃すところだった。
「危なかったなー」などと呟きながら帰路につく。

帰りしに雨が降ってなかったのは幸か不幸か、私は家に着いてから車内に傘を置き忘れてきたことに気づく。
紺色の品のある良さげな傘。最近、雨の度にお世話になっているのはこの紺の傘だった。

少し残念だが「わざわざ取りに行く程のものでもなし、別にいいか」という結論に至り、傘は諦められた。

それから数日が経過。

早朝、見知らぬ男が私の家を訪ねてきた。
「紺の傘を落としませんでしたか？」
確かそんな感じの質問に、私は半分寝ぼけながらも応える。

その日から、私は家に帰れずにいる。


状況、理由等を補完してください。