「路上の喧嘩に囁く悪魔」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
教え子たちや同僚からあまりにも慕われていた平野先生は、その日、帰り道の横断歩道を渡りながら、顔も名前も知らない犯罪者に思わず感謝しそうになって「そんな風に考えてはいけない」と慌てて自分を諌めることとなった。
このとき見ず知らずの犯罪者はどのような罪を犯したと考えられるだろうか?
平野先生が感謝しそうになった理由と共に答えよ。
※出題者の知識の都合上、法律方面から掘る質問にはお答えできない場合があります…!
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◆解説◆
過失運転致死
(大意を満たしていれば路上殺人等でも可)
退職の日に大量の花束をもらった平野先生。
徒歩通勤の彼女はそのあまりの多さから持ち帰るのに苦労していたところ、道端に交通事故の犠牲者を弔う献花が置かれているのを発見した。
一瞬「花束の一部をここに献花として置いていけばよいのでは」と帰り道で事故を起こした犯人に感謝しそうになったが、「感謝などしては被害者に対して申し訳ない」「そもそもいただいた花束はきちんと持ち帰ろう」と思い直した。
今日3月31日をもって、平野先生の40年にわたる教師人生に幕が降りた。
その厳しくも優しい、愛に溢れる指導からどこの学校でも慕われ、最後の赴任地となった森岡高校でも「ひらちゃん先生」の愛称で親しまれていた。
そんな平野先生が定年を迎えるとのことで、森岡高校の生徒だけでなく過去の教え子たちや今は別の学校に勤める元同僚からもお祝いの言葉と共に花束が贈られた。
夫に先立たれた彼女は、今は高校から徒歩15分ほどのアパートで一人暮らしをしている。
両手に溢れんばかりの花束を抱え、皆に見送られながら学校を後にした平野先生だったが、次第に「お言葉に甘えてタクシーを呼んでもらえばよかった…」と数分前の自分を後悔し始める。
大きい。多い。重い。前が見えない。
これも返してもらった愛の大きさだと自らを鼓舞しながら横断歩道にさしかかった時、ふと脇の歩道に花束が供えられているのが目に入った。
そういえば数日前にこのあたりで交通事故があったという話を耳にしていた。横断歩道を渡る歩行者が信号無視の車に撥ねられてしまったのだとか。
被害者も人望の厚い人物だったのだろう。寄せられた献花の多さがそれを物語っていた。
と、その一瞬、平野先生の頭によくない考えがよぎる。
私がもらったたくさんの花束、その一部だけでもここに献花として供えていけば、もっと楽に帰れるのでは…
ちょうど帰り道で事故が起きるなんて都合がいい…と、顔も名前をも知らない運転手に感謝しそうになったところで、慌ててぶんぶんと首を振った。
私としたことが、あろうことか交通事故の加害者に感謝しそうになるなんて。
亡くなった被害者の方にも、きちんと弔いの気持ちで献花をされた方々にも謝らなくてはなりません。
きっと人生の区切りを迎えて心が不安定なのね。
そして何より……
かわいい教え子たち、共に切磋琢磨した先生方からいただいた大切な花束は、しっかり私の手で持ち帰らせていただきます。
ぎゅっと花束を握り直して、甘やかな香りに包まれながら再び帰路を行く平野先生の背中は、愛を与え続けてきた者のたくましい背中であった。
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