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「リサちゃんはA型かー。じゃあ、几帳面で真面目な性格なんだね」
「どうかな。そういう部分もあるかも」
血液型性格診断で盛り上がるマユカたち。
マユカは、辺りを見回すと、そこにいた鈴木に声をかけた。
「鈴木くん、ちょっといい? 鈴木君の血液型って何型?」
「血液型だって? それはABO型の分類法の事かな?」
「あ、ちょっと待って。当ててあげる。鈴木くんは二面性があってミステリアスな感じがするからAB型じゃない?」
「違うよ。ABO型の分類法でいくなら、僕はB型さ」
「そうか。マイペースだし変わってるところがあるもんね」

鈴木はやれやれという表情を見せ、こう切り出した。
「血液型性格診断というものには、実は科学的根拠はないんだ。血液型というのは、性格を決定するためのものではないのさ」
ええ? と半笑いになる一同。
「血液に含まれる血球成分には、赤血球、白血球、血小板の3種類がある。
赤血球は体中に酸素を運ぶ役割、白血球は体内に侵入した外敵を排除する役割、
血小板は体の傷を治す役割が、それぞれあるといわれている。
血液中に、これらのうち赤血球が含まれているのがA型、白血球が含まれているのがB型、
血小板が含まれているのがO型、そして赤血球と白血球が半分ずつ含まれているのがAB型さ。
つまり血液型というのは、血中成分の違いを表すものに過ぎないのさ」

戸惑いざわめき立つ一同は、鈴木に質問を浴びせた。
「だから、それが性格を決めるんじゃないの?血液型での性格分類って大体当たってると思うんだけど」
「1人の人間には色んな面がある。どんな事でも、言われたら当てはまるように思えるというだけさ。血中成分の差には、人間の生き方を決める程の重要な影響力などないんだ」
「だったら、その赤血球や白血球や血小板が全部そろっている人は、いないってこと?」
鈴木はうなずいてみせた。
「僕たちは皆、生まれた時には不完全な存在なんだ。僕たちは、生まれた後にそれぞれ自分に足りない血液要素を外部から補給していく事で、初めて完全な人間になれるのさ」

するとそこに、担任の三浦先生が近づいてきた。
全然似合わない十字架のペンダントなんてしている、とマユカは一瞬顔をしかめた。
「鈴木くん、あなた皆を集めてさっきから何おかしなことを言ってるの」
三浦先生は、おかしなことを言わないでと鈴木を叱ったが、その場にいたマユカたち一同は、皆 鈴木に味方した。
なぜか。
23年05月03日 23:41 [油獣]
【ウミガメ】
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