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はるか昔の、とある国でのお話。


信じていた家臣に手酷く裏切られ、人間不信に陥った王。その怒りと人々への不信から彼は、一日一人、千日に渡って千人の国民を自らの手で処刑することにした。

最初の犠牲者として王のもとへと連れ出されたある娘。彼女は王の蛮行を止めるため、彼にこんな話を持ち掛けた。

「今日から一日一話、王様に不思議で謎に満ちた物語を語って聞かせます。私は物語のすべてを語りません。王様が私に、お話の内容について質問をして、物語の全貌を明らかにしてください」

それは民の間で"ウミガメのスープ"と呼ばれ、親しまれている遊びだった。存在は知っていたものの、実際にどんなものか知らなかった王は、この話に興味を持った。そんな王に、娘は続ける。

「もし、私の語る謎の物語を楽しんでいただけたなら、その日はそれを代わりとして、人を殺すのはやめていただきたいのです。千の命の代わりに、千の謎を王様に捧げさせてください」

王はしばし考える。"ウミガメのスープ"には興味があったし、約束を違えたとて王を非難できるものなどいない。飽きれば娘を殺してしまえばいい話だ……王は娘に向けて頷いた。

「では早速、最初の物語を語らせていただきましょう。ある海の見える食堂で、男が――」

……王からの質問を経て、やがて物語のすべてが明らかになったとき。王は娘に一言、こう言った。

「あと九百九十九だ」


一日一問、娘が謎の物語を語り、王がそれを明らかにする。そんな夜が続き、ついに千日が経った。

そして次の日。
王は王宮に千の国民を集めさせた。

いったい何故?
18年08月31日 17:00 [アルバート]
【ウミガメ】【時間制限:6時間】【闇スープ】
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