連続ウミガメ小説

作成者:八つ橋
部屋名:連続ウミガメ小説
ルームキー:連ガメ
「連続ウミガメ小説』は、2018年(平成30年)から開始されたらてらて鯖のウミガメドラマシリーズ。通称は連ガメ(れんガメ)。

本チャットルームは、皆さんがリレー形式で小説を繋げていき、完成した物語を楽しむという実験企画です。
詳しいルールは次の通りです。

①初めに誰かがタイトルを記入し、他の方が物語を綴り始めます。中途半端で構いません。
②次に、他の方がその物語の続きを書いていきます。以下、それを続けていきます。
③同じ方が二回連続して投稿することはできません。
④適当にキリがいいところで、どなたかが物語を締めて終了します。

 前人が作った流れを滑らかに引き継いでもよし。超展開をぶっこんでもよし。温かい気持ちで、予想のつかない物語を楽しみましょう。

※本企画は修正を加える可能性があります。また好評いただけない場合は、公表を差し控えることがあります。ご了承ください。
※当初は、④について「適当にキリがいいところで、どなたかが物語を締めて、タイトルをつけて終了します。全体を一つにまとめ直してもよいでしょう」としていました。ただ、蟻さんの素敵なタイトルに合わせて、風木守人さんが素晴らしい物語を綴ってくださったことや、初めにタイトルを提示した方が、後の人が書きやすいと判断したことから、ルールを改定しています。ご了承ください(2019年2月20日記/僭越ながら、一作目は八つ橋がタイトルをつけさせていただきました)。
※小説保管庫を作成いたしました。「連続ウミガメ小説:保管庫」ルームキー「蓮ガメ保管庫」
https://late-late.jp/secret/show/IiGe4dI_IlU5RAACMNvGoSD-2eC4j-qEDFnYgAOp7hI.

一作目「ウミガメ・ドグラ・マグラ」[3711]黒井由紀さん〜[12905]蟻さん

二作目「 海・亀甲獣骨文字のダイイングメッセージ」[13804]風木守人さん〜

【総発言数:18】
[23716]
名無し◆Fj/alDNYCo

いいかい○○、この呪文は決して唱えてはいけないよ。

どうして?

危険だから。

なら、なんで教えるの?

……伝えなきゃ、いけないんだ。彼のためにも。

「……ミオくん、ウミオくん!」
呼ばれる声にパチリと目を開ければ目の前には猫の顔。
「うわぁ!?」
「なんだ、もう起きたのかね。気絶しているか確認せずにさっさと実験をすませて置けばよかったな」
思わず驚いた声をあげると、太った猫がヒョイと横にずれて教授の顔が現れた。どうやら、猫を僕に近づけて起きているかどうか確認してたらしい。
「僕が気絶している間に変なことしようとしないでください」
「そう言うな、こっちは君のせいで大変だったんだ」
「そういえば、ここは一体どこですか?」
起き上がって周りを見れば、辺りはさっきと全く違っていた。木で作られた簡素な小屋の中には、小さなテーブルと椅子、そして僕が今座っているベッドがある。
「さあな。少なくとも日本じゃないことは確かだが」
……死んだ目で答えられた。
「…何があったんです?」
教授が大きくため息をついた。心なしか、いつもより顔が疲れている気がする。
「あの後、君が気絶したことにあの少女…サツキといったか、彼女が酷く動揺したんだよ。君を担ぎあげたかと思うと突然空港内で暴れ始めてな。猫は巨大化するわ私の腹を殴るわで…」
「待ってください!猫が?巨大化??」
「ああそうだ巨大化したんだ。そんなこと今はどうでもいいだろう」
いやどうでもよくないだろ。
「とにかく!その騒ぎに駆けつけた警備員と警察になぜか私も追われてな、どうなるか分からなかったがこのまま捕まるよりはましだと思い彼女にもう一度呪文を唱えてもらったら、ここに来たんだよ」
「呪文?呪文って…まさか、あの声は彼女のものだったんですか?」
僕が慌ててそう聞けば、教授は目を輝かせた。
「ああそうだ。実はまだここに来て数十分しか経っていないから、詳しいことは分からないがな。彼女がもしウミガメ族の子孫だとしたら大変なことだぞ。彼らは日本に流れ着いたということの証明になる!世紀の大発見だ!」
僕はごくりと唾を飲んだ。まさか、あの不思議な少女にそんな可能性があるとは…
「彼女は今どこにいるんですか」
「外だ。彼女もここがどこか分からないらしく、情報がないか見てくるそうだ。君を私の元に置いていくのが心配だったようだが、なんとか信用してもらえてな。今こうやって君と二人きり…いや、二人と一匹きりでいるわけだな」
「はぁ、なるほど…」
少女だけで見知らぬ場所の探索をさせるなんていくらなんでも危険すぎやしないかと教授の常識を疑ったが、教授の足に巻かれた包帯を見て納得した。一刻も早く状況を把握しなければならないなら、怪我をした老人を連れていくより空港で暴れるほど力のある若者が一人で行ったほうがまだ安全だ。教授にとってもこれは苦肉の策だったのだろう。
「彼女が帰ってきたら色々聞かなきゃならないことがある…君にもだが」
「え?」
そう言った教授の目は、見たことがないほど鋭かった。

[19年09月01日 14:06]
[23695]
イナさん

[編集済] ウミオはこの突然の出来事にかなり困惑していた。
講義を受けていたはずなのに、さっき教えてもらった呪文が聞こえて、気がついたらアルゼンチン空港だ。
それにこの少女と会ってからなぜか頭痛がする。
とりあえずこの収束つかない事態を僕がどうにかしなければ。
集まったメンツを見て即座にそう判断し、口を開きかけたその時。

「あ、あの。メイを、メイを知りませんか?」

と俯きがちに少女が言った。この少女の名はサツキといって妹を探しているらしい。

「すまないが妹のことは知らないな。そもそも私たちと面識はないよな?」
教授が珍しく真っ当なことを言った。
それを聞いたサツキは顔を上げて私たちを見、目を見開いた。そして僕に向かって

「メイのバカっ!すぐ迷子になる癖に!」



ん?????ドユコト?????

「お姉ちゃーーん!!ごめんなさーーい!!」



「…んなわけあるかボゲェェェ!!!!!!」

いきなり何を言いだすんだこの子!?
某アニメーション映画のシチュエーションかと思って思わずノリツッコミしちゃったじゃないか!!!

「まず性別違うし!年も僕の方が上じゃないk…」

痛っ!!!!!またあの頭痛だ。
何か重要なことを思い出せそうな…

くそ!教授がとても好奇心の眼差しを送ってきて目障りで集中できない!
そしてあまりの痛さにだんだんと意識は薄れていった…
アルゼンチン空港に日本人の少女と教授風なおじさんと倒れているイケメン男子…
カオスじゃないか…
[19年09月01日 09:25]
[15751]
八つ橋

[編集済] 人里離れた林の奥深く、朽ち果てた古代遺跡の一画で、助手を相手にカメオ教授の講釈は続いていた。
「カメオ君、君が今いる国の国旗には何が描かれている?」
 突拍子もない問いかけに、ウミオは戸惑いながらも答えた。
 「えっと、アルゼンチンですから、太陽ですね」
 「そうだ。そしてこの地の先住民族であるウミガメ族も、太陽を信仰の対象としていた」
 カメオ教授は、亀甲剝布を指差しながら言葉を紡ぐ。
 「ダイイングメッセージである『太陽が沈む者よ亡くなれ』。この「者」は、特定の人物を指し示しているわけではない。そうであるなら、個人名を記せばいいのだから。太陽が出づる土地の人から、太陽が沈む国の人へ。つまりこれは、太陽が沈む地方に住む人を対象にしたメッセージであると解釈できる」
  「はぁ……」
  察しの悪い弟子をみやり、教授は答えをいった。
 「これは、ダイイングメッセージであるとともに、呪いなのだよ」
 「もしかして……これは教授が研究していたウミガメ族に伝わる魔術の一種ですか?」
 「そうだ。正確な発音は分からないが、おそらくは、ンバロンゲゲロホウとよむのだろう」
 教授は自らの解釈を披露した。曰く、後頭部を殴られた男は、犯人が誰であるか分からなかった。しかし、なんらかの理由で、太陽が沈む地方に住む人の犯行だとは理解した。よって、このようなダイイングメッセージを残した。その後の歴史を辿ると、「太陽が沈む者」、つまり海の向こうから来た侵略者によって、ウミガメ族は滅ぼされる。一説によれば、古代文明を駆使して遠くの地まで逃げ延びたという。さらに眉唾ではあるが、そのうちの一部が日本に定住したとも言われている。
 「ま、日本人がこの呪文を知っているなんて、妄想にしてもありえない話だがね」
 「はぁ……」
 いつものように論理が飛躍することに慣れたカメオは、その「太陽が沈む者」をいかにして調査するかを話し合おうとした。その時である。
 突如として周囲が暗くなり、風がざわめき、数秒後、あたりが急に静まり返った。真昼間なはずなのに、この深々とした暗闇は、明らかに自然のものではない。不気味な静けさに、さすがの教授も顔を強張らせる。そして。

「ンバロッンゲゲロホゥーッ!!」

 誰かの絶叫とともに、視界が真っ白に染まり、古代遺跡の中心部が爆発飛散した。カメオ教授と助手のウミオは、3メートルあまりも後方に吹っ飛ばされた。幸い、後方の木々がクッションとなって軽傷で済んだ。

 「いてててて。いったいなんじゃ」

 ゆっくりと態勢を起こしたカメオ教授は、信じられないものを目にする。なんと彼らは、アルゼンチンの空港にワープしていた。そして目の前には頭にでっぷりと肥え太った猫を乗せた少女が立っていた。彼女は目をぱちくりとさせ、ぼーっとしていたが、カメオ教授をみつけると、あわてて言葉を紡いだ。それを聞いて、教授はまたも驚く。なぜならばそれは、耳慣れた故郷の言葉、日本語であったからだ。

 「あ、あの。メイを、メイを知りませんか?」

 そう。少女の名は、サツキ。彼女は先祖のウミガメ一族から敬承されし呪文を使い、アルゼンチンの空港にワープしたのであった。ついでに教授と助手もともなって。まっこと訳のわからない恐ろしい呪文である。
[19年02月20日 16:21]
[15520]
名無し◆xl1IRS0MvY

時は少し戻って、現代の日本。
サツキは行方不明になった妹のメイを探していた。
もうすぐ日が暮れてしまうのに未だ目撃情報すらない。
(もしメイになにかあったら…)
サツキは焦燥感に駆られていた。
そうこうしている間に辺りは暗くなっていく。何か、何か方法は…!!


『サツキ、よく覚えておいて。
へちゃむくれのデブ猫を頭に載せて、尻尾を引っ張りながら
魔法の呪文を唱えると、奇跡を起こすことができるの』


いつか病床の母に教わった一族の女に伝わる魔法。
これに賭けるしかない!!


サツキは縁側で寝ていたデブ猫を乱暴に抱き上げると頭の上に載せた。
当然抵抗するデブ猫。
「サツキ、どうした!?」
「サツキちゃん、気を確かにしな!!」
サツキの奇行に驚いたカンタとおばあちゃんは慌ててサツキを止めようとする。
二人の制止を振り切って、渾身の祈りを込めてサツキは叫ぶ。



「ンバロッンゲゲロホゥーッ!!」



奇声を発しながら忽然と消えてしまったデブ猫とサツキ。
残された二人は呆然と立ち尽くすだけだった。
[19年02月17日 05:22]
[15019]

この無関係と思われる二つの出来事には、関連性
があった。
[19年02月11日 18:05]
[14063]
名無し◆k2Wv7T3.0g

一方その頃、アルゼンチンの空港では。

「メイのバカっ! すぐ迷子になる癖に!」
「お姉ちゃーーん!!ごめんなさーーい!!」

猫ブスに乗ったサツキが迷子になったメイと再会していた!!
[19年01月29日 21:08]
[13804]
風木守人

[編集済] 「これが何か分かるかね?」

カメオ教授の曖昧な問いかけに、助手たるウミオは的確に答えた。

「ウミガメ族の亀甲獣骨文字です。それも、棺桶に副葬される亀甲剝布ですね」
「そうだ」

カメオはウミオの回答に満足そうに頷いた。

「紀元前2500年前頃栄えた古代文明の担い手であった彼らは、亀甲や獣骨を焼き、その割れ方によって吉兆を占った」

カメオの長広舌が始まったが、ウミオが遮ることはない。邪魔すると機嫌が悪くなるし、何よりカメオの知識を吸収する良い機会だからだ。

「その中でも亀甲剝布は特別でね。平たく薄く割れた亀甲が、偶然にも縁起の良い文字列の形になったもので、ウミガメ族の貴族たちは好んで棺桶に入れた。しかしこの、」

数千年の時を経てなお滑らかな亀甲剝布の表面をカメオは指でなぞる。

「この亀甲剝布には不自然な点がある。わかるかね?」

ウミオは丹念に文字列を観察したが、そこから読み取れる文章は確かにおかしかった。

「『太陽が沈むところよ去れ』……? 定型文をもじったジョークですかね?」

本来、『太陽が照らすところに在れ』となるべき定型文と確かに違うことに気づいたウミオに、カメオは意地の悪い笑みを浮かべた。

「ここをよく見なさい」
「あっ、そうか。後から加工されてますね」

よく見ると文字列の中に不自然に浅く太い線があった。その線のために、別の文字と誤読してしまったのだ。

「このインチキを考えたのが、亀甲剝布の商人でなければ」

カメオはそれこそ、回りくどいジョークを挟んでこう言った。

「君はコレを定型文として読んだがね、太陽が沈むという部分を人名ととらえたらどういう意味になる?」
「えーと……ところ、ではなく者。そして、人に対して『ヨト』を使うと……あっ」

博士はニンマリと笑った。

「『太陽が沈む者よ亡くなれ』ですか?」
「正解だ。そして君、彼の死因はなんだね?」
「後頭部の打撲が原因と分析されています」
「棺桶の蓋の裏を見たかね?」
「? ……いいえ」

首をかしげるウミオの様子を見て、カメオは得意げに自身の仮説を披露する。

「彼は何者かに頭部を殴られて殺され、棺桶に亀甲剝布とともに埋葬された。しかし彼は生きており、その証拠に棺桶の蓋には爪によるものと考えられる擦過痕が確認された。当然、土に埋められたカメオは数分と生きられず窒息しただろう。
今際の際に彼は何を考えたのか?
その答えが、この亀甲剝布に記されている。この文章。『太陽が沈む者よ亡くなれ』と書き換えたのが彼だとすれば、一体何を残したかった?
殺された彼は?」
「!」

そこに書かれている名前は、

「つまり、」

カメオ教授の結論は、

「これは、世界最古のダイイングメッセージじゃないかな?」
[19年01月26日 21:24]
[12905]

海・亀甲獣骨文字のダイイングメッセージ
[19年01月08日 23:47]
[12902]

「ウミガメのスープを一つください」
何故私はあそこに行き、何故あんなダイイングメッセージを書いたんだろう。今となっては思い出せない
私が一番好きなのはこのウミガメのスープだ。これを最期に飲みたいな
「すみません。これは本当にウミガメのスープですか?」
「ええ、そうですよ。」
良かった、本物だ。そういえば妻を残してしまったな。本当に悪い...
俺は店を出ると、崖に向かった。
「もう何も怖くない。」
俺は飛び降りた。その時考えたのは自分の人生だった。
ドンッ...





カリッカリッ...


「遺体を発見!応援を要請する!」
「おいっなんだよこの文字!」
「砂にかいてあるぞっ!えーっと?」



「ウミガメのスープ、だって?」



To be continued...?
[19年01月08日 23:45]
[12771]
風木守人

[編集済] もう記憶も曖昧だ。
私には何も残されていない。そう、何のためにここにいるのか、私は誰なのかも、もう。
しかし、死に絡め取られ、削ぎ落とされて手のひらに残った言葉を私は覚えている。
「ウミガメのスープ……?」
これだけは忘れてはいけないという不思議な確信があった。
これを忘れては私が完全に私ではなくなるような……。
倒れ込んだ場所は見知らぬ浜辺のようだ。私は必死で砂浜に指を立てた。
ウミガメのスープ。
そう書き記した時、私の喪失感は反転した。
私は私の名前を思い出し、死んだ男の声を思い出し、私の職業を思い出し、私の意識を取り戻した。
私は気づけば、あのレストランに立っていた。
あの砂浜に文字を書いたのは、私だったのだ!
[19年01月07日 01:18]
[10548]
イナさん

[編集済] とりあえず「アイツ」を探しに歩き始めた。(死んだのに『歩き始めた』はチョット変だな。)えー、
とりあえず私は「アイツ」を探しに漂い始めた。(これで良し。)
しかし、しばらく漂ったところでふと頭に違和感を覚えた。漂えば漂うほど記憶が飛んでいくのだ!しかし止まり方を知らない。ただただ呆然とするだけだった。ああ、今まで集めてきたピースが全て吹っ飛んでいく。そのうち意識も朦朧としてきた。
ワタシハダレ? ココハドコ? ナニヲシテイタノ??? それを最後に私の目の前は真っ暗になった・・・
しかし、意識が途切れる寸前、男性の声が聞こえたような気がした。

『崖から落ちるのって、ジェットコースターとは比べものにならないくらい、ふわっとするんですね・・・』
[18年10月10日 03:34]
[4883]
名無し◆XuNNMCGNoQ

ここはどこだ?私はさっきまで何をしていたのだ?そうか私は死んでしまったのか!(笑い死になんて恥ずかしくて言えない!!)しかしこうなったらチャンスだ死んだ男に直接聞こう。よし探しに行こう。おそらく奴はまだ成仏していないことだろう。ここに来てかえって良かったわ。「わっっはっはわっっはっは」おっとっといかんまた死んでしまうところだった。いやもう死んでるから死なないのか。「わっはっはわっはっはわっはっはわっははは」待てよ何かがおかしいこの私が笑い死になんてあり得るのか?もしかして誰かの陰謀?クスリを盛られたのか?そうなるとますます怪しいのが「アイツ」だな
[18年08月27日 11:28]
[4260]
名無し◆/.wSwQlNVw

[編集済] やはり事故ではなく事件なのだ。
しかも、男を崖下へ突き落した人物とは別に、もう一人、別の人物が事件に関わっている。

一つずつ確認していこう。
この事件で間違いのない情報、それは検死の結果だ。

検死の結果、男は崖から転落して即死したことが判明している。
しかし、男の傍らには『ウミガメのスープ』という謎のダイイングメッセージが残されていた。
即死した男にダイイングメッセージを残せるはずがない。
つまり、このダイイングメッセージを残した人物は、男ではないということだ。

そして、男を殺崖から突き落とした犯人も違うだろう。
この不可解なダイイングメッセージさえなければ、この事件は事故として処理されていた可能性が高いのだ。
犯人がわざわざ自分の不利となる行動をするとは考えにくい。
とういうことは、犯人がこのメッセージを残したのも違うというわけだ。

そうなると、男でもない、犯人でもない、まったく別の立場にいる人物がこのメッセージを残したということになる。

では、このメッセージを残した人物は誰だろう。
まだ捜査の途中なので、事件の関係者はこれから増えるかもしれない。
その危険性を踏まえた上で、私は可能性のある人物について考えてみた。

「男の妻?」

妄想染みた自分の思いつきに、思わず私は笑ってしまった。
[18年08月16日 12:45]
[4203]
こはいち

[編集済]  しかし、食べものが胃に滞在する時間は、平均2~3時間。脂肪分の多い食べものは4~5時間かかる。昨日の昼に食べて5時間後までに転落死したとして、今日——それも今から3時間前——まで見つからないというのは不自然だ。

 店員の証言通り、昨夜この店を訪れて死亡。
 昨日の昼に訪れて死亡。
 昨日の昼だった場合、事故ではなく事件の可能性が高くなってくる。彼の財布の中にはレシート1つ入っていなかった。現状何も分からない、手詰まりだ。

 嗚呼、ダイイングメッセージの謎も解けていない。即死という結果も出ている。一体誰が、何時、なんのために書いたものだろうか。

 ……そもそも、海風が吹く砂浜で、あそこまではっきりと「ウミガメのスープ」という文字が読み取れたのは、砂が湿って固まっていたからだ。しかし男の遺体は濡れていなかった。
 つまりこれは——
[18年08月15日 12:33]
[3867]
黒井由紀

[編集済] 「とスパゲッティーナポリタンとハンバーグがセットになって1000Gなんですね、ここのランチ。これは毎日そうなんですか?」
入り口の看板を思い出しながら、なにげない風をよそおって話題を変える。かといってまんざら無意味な質問、というわけでもない。
「はい、うちのランチは毎日ウミガメのスープとスパゲッティーナポリタンとハンバーグですけど」
男は不満げにこちらを睨んで言った。さっきまでの落ち着かない反応をごまかそうとしているのか、視線も体も動かさない。
「では、ディナーメニューは……これですかね」
妙に油っぽく光るテーブルから、ラミネート加工された紙を拾い上げて眺める。ハンバーグ3500G、スパゲッティーナポリタン2500G、ウミガメのスープ1500G、か。100%そうだとは断言できないが、概ね予想通りと言えるだろう。

死んだ男の妻は「大好物でした……」のあと、こう続けていた。「ウミガメのスープを食べるために、あるレストランに通い詰めていたほどです。まあ、あの店に通い詰めていたのは、お小遣いが月々30000Gであんまり高いものを食べられないからだったのかも知れませんけど」
そして、死んだ男の胃からは、ウミガメの肉・スパゲッティー・ベーコン・ピーマン・タマネギ・挽肉が検出された。きっとこの店でウミガメのスープとスパゲッティナポリタンとハンバーグを食べたのだろう。
……が、ディナータイムのこの店でウミガメのスープとスパゲッティナポリタンとハンバーグを食べるのは、死んだ男の小遣いではかなり厳しい。ランチタイムならまだしも。

――死んだ男がこの店を訪れたのは、本当は昨夜ではなく昨日の昼なのではないか?
[18年08月08日 23:52]
[3742]
八つ橋

[編集済]  「実はですね、三時間ほど前でしょうか。近くの浜辺で遺体が発見されまして。
生前よくこちらのレストランに通っていたということで、何かご存じではないでしょうか」
 私は懐から手帳と写真を取り出し、男に尋ねた。
 「はぁ、よく食事されていた方ですから。昨夜もこちらにいらしました」
 ですが、まさか亡くなってしまうとは。男は口元に手をやり、驚いた様子をみせる。
 「びっくりです。お帰りになるときも、特に変なところはありませんでしたよ」
 ため息をつきつつ、男はちらりと厨房をみた。早く帰って欲しいらしく、そわそわしている。
 本当に何も知らないのか。私は鎌をかけてみることにした。
 「……ウミガメのスープ」
 びくりとする男。ただ客が注文するだけなら、こうまで妙な反応はしない。私は慎重に言葉を紡いだ。

[18年08月06日 14:07]
[3725]
名無し◆DT8cGu3T/U

二番槍、務めさせていただきます。



いくら考えても分からない。
だったら私たち刑事は、足で稼ぐしかないのだ。
早速私は、生前男がよく好物を食べていたというレストランに行くことにした。

「ごめんください」

レストランの中は妙に生臭い匂いが漂っていた。
ここは本当に食事を提供する場所なのか? まるでゴミ置き場みたいな匂いじゃないか。
私は思わず鼻を覆った。

「いらっしゃいませ」

背の高いやせ細った男が現れた。
ニヤニヤと私の顔を見つめている。
厨房まで見渡せる狭い店内に他の従業員はいない。

「すみません、客じゃないのです。警察なのですが、ちょっとお聞きしたいことがありまして」

警察?
男が強張った表情を浮かべた後、小さくそう呟いたのを私は聞き逃さなかった。
[18年08月05日 21:01]
[3711]
黒井由紀

こんにちは。早速投稿させていただきます。

「ウミガメのスープ」
全18画で全8文字という、ダイイングメッセージとしてはやや長めのそれを傍らに、男は死んでいた。
崖下の砂浜で、男の死体を初めて発見した刑事は戸惑った。
崖から転落して即死した男が、なぜ砂にダイイングメッセージを書ける?
というか、たとえ書けたとしても、自分の大好物(男の妻に心当たりを聞いたら「大好物でした……」と答えがあったのだ)なんかわざわざ書くか?
[18年08月05日 16:00]