男の1日は一杯のコーヒーから始まる

朝淹れたはずのコーヒーはすっかり冷めきり、平凡なある家族3人の何気無い日常や特別な日々が残る一本のビデオテープが回りきる。

不運な事故だった。
わき見運転か、不注意かー今となってはもうどうでもいいことだがー夜道で追突され、そのままガードレールに衝突。
夫と妻と子供を乗せた家族のうち、夫である男だけが生き残ってしまった。

今日もまた男は、ビデオテープを巻き戻すのだろう。
戻ることのない美しくも愛しいあの日々が綴られたそれに、失われた妻と子供の影を求めて。
静かな部屋でたったひとり、静かに涙を流しながら。

解答
男は、死んだ妻と子供の記録が残るビデオテープを繰り返し見ながら泣いている。